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ならば殺し合え。熾天の玉座は、最も強い願いのみを迎えよう――― 今回の聖杯戦争への参戦条件、それは霊子虚構世界、へのアクセスが可能であること。 月にある聖杯を手にし、生還するのはただ一人。霊子虚構世界にて開催される今回の聖杯戦争においてこのルールは絶対であり、敗北は電脳死を意味する。
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せいはいせんそう 聖杯戦争 【分類】 【概要】 Fateの聖杯戦争の二次創作 テーマ 登場人物紹介 第5656次聖杯戦争第01話ボクの名前はゴロゴロです +... 「なんだチビ、お前どこの英霊だ」←テンプレ 「はい、ボクの名前はゴロゴロです」←ここまでテンプレ 「たとえチビだろうがサーバントなら容赦はしねぇぜ」(槍を眼前につきつける」 ぱくっ 「ぱくっ?」 するとそこには突きつけられたゲイボルグの穂先を口にくわえるゴロゴロの姿。 「おお!?お前何してやがる!」 ぶんぶんと槍を振り回すが離れないゴロゴロ。まるでお菓子を食べるかのようにポリポリと槍を飲み込んでいく(比喩にあらず) 蹴ったり殴ったりするが引き離せず、槍はゴロゴロのお腹に収まってしまった。 「俺の槍が……orz」 悲しそうにするランサーにゴロゴロは、ポーチから2本の槍を取り出した。 「えっと、あなたがおっととした槍はこの金のやりですか、それとも銀のやりですか」 「は?」 「えっと……金のやりと銀のやり……えっと……?」 「……どっちでもねえよ、俺のやりは赤い槍だ、返せよ」 「しょーじきものには両方」 「いらねえよ」 (´・ω・`) 「はい(ぺっ)」カランカラン 「(槍は無傷か……実際にかみ砕いて食ってたわけじゃなさそうだな。得体の知れないやつだ)」 「あの……しょうじきものにはりょうほう(金銀の槍)」 「だからいらねえって」 「そっかぁ……」(しまいしまい (あのポーチが宝具か?亜空間系の宝具となるとキャスターか?) 「(答えるとは思えないが)おいチビ、お前何のクラスのサーヴァントだ?」 「そのクラスってのがよくわからないんだけど、リンはガーデナーって言ってたよ」 (言うのかよ、しかもエクストラクラスかよ)
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【トレーラー】 “聖杯戦争” 万能の願望機を作り、7騎の英霊を燃料として焚べ、座に至るという魔術儀式。 この術式は魔術世界に衝撃を与え、数多くの魔術師達がこの術式の模倣・再現に挑戦した。 しかし、戦争を開始する為、聖杯を本来の目的どおりに機能させる為には、作成した聖杯の『格』が相当以上である必要がある。 多くの者が試みたが、冬木の聖杯に比肩する格を持つ聖杯を再現するには至らず、召喚されるサーヴァントの数が足りなかったり。 酷いパターンだと召喚はしたは良いが、サーヴァントが形を「マトモ」に留める事が出来ない聖杯もあった。 しかしある時―とある術式のマイナーダウンである冬木聖杯戦争。それを、更にマイナーダウンした術式が生み出された。 『聖杯の格が足りなければ、サーヴァントの格を落とす』そのように方向を定義し、調整され、安定化された術式。 “奇跡”に至らない、万能ならざる願望機を作成する聖杯戦争。 その術式は、根源よりも現世での権勢や他の目的を求める魔術師らにとっては本来の聖杯戦争より 適度で手が届きやすく価値のあるものだった。 発動に必要な地脈や聖杯そのものの質も、本家の冬木式より低く。 冬木式のモンキーモデルとするその術式を、冬木式聖杯を『大聖杯』として『粗製聖杯』と、嘲笑と羨望入り混じった渾名で呼称される… 【特殊ルール説明】 ①エクストラクラスの使用禁止 使用できるクラスは基本の7クラスとする。(クラス被りは可) ②ステータス割り振りの制限 「サーヴァント」及び「マスター」のステータス割り振りを以下のように制限する。 A+以上のステータス 禁止 A相当のステータス 割り振れる箇所は1つ B相当のステータス 割り振れる箇所は2つ C相当のステータス 割り振れる箇所は3つ D・E相当のステータス 制限なし ※「サーヴァント」・「マスター」のステータスによる振り直しは、A相当のステータスがある場合可能。 ※「乗騎」はステータスによる振り直しは不可。 ③クラススキルの効果変更 ステータス制限に伴い、クラススキル「対魔力」の効果を下記のように変更する。 【対魔力】 5点 魔術防御時、補正値5を得る。 交戦フェイズごとに1度だけ、任意の判定を振り直せる。 ④宝具の制限 宝具の所持数は1つまでとする。 ⑤マスタースキルの制限 マスタースキルの「ステータスの上限がEXになる。」相当の効果を持つスキルの所持を禁止。 【ハウスルール】 当卓では以下のスキル・宝具の使用を禁止する。 クラススキルを除く英雄点6点以上、または令呪1画以上を消費するスキル。 英雄点6点以上、または令呪2画以上を消費する宝具。 スキルを使わずに同時に複数体の乗騎を召喚する宝具、2度以上一つの判定で他の判定を行う宝具。 余った英雄点を宝具やスキルのリソースに使用すること。 同じ効果のマスタースキルの重複。
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下北沢聖杯戦争 あーねんまつ 俺ロワ・トキワ荘にて2015年12月27日、◆Cdlfrs/xVY氏によって開始された亜種聖杯戦争企画。 第二次二次キャラ聖杯戦争の発足後に増えた二次キャラ聖杯戦争の非公式続編企画の一つで、ルールの多くは特に二次二次に影響を受けているわけではない。 舞台は下北沢であり、これまでのパロロワや聖杯戦争の中では珍しく、ホモビが多数登場する。 参戦キャラは少なく、「Fate/Stay night」原作通りの、7騎に加え、エクストラ的なのが1騎。 参戦作品の傾向としては、とにかく汚いことが挙げられる。 ルールは以下の通り。 非リレーですが、誰かが勝手に続きを書いた場合、その続きを書きます。 大体二次聖杯戦争系のルールに即していますが適当にやっています。 淫夢鯖を書いた経験はありません 適当にやります 飽きたら爆発オチになります 2016年2月21日(日)に二ヶ月で集まった候補作品を総括するオープニングが◆Cdlfrs/xVY氏によって投下され、本編が開始した疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは・・・。 2016年7月16日、亜種聖杯において記念すべき初の完結を迎える。 参加者 No. マスター サーヴァント 名前 出展作 クラス 真名 出展作 No.01 ひで 淫夢 セイバー 虐待おじさん 淫夢 No.02 いつもの浮浪者のおっさん 淫夢 アーチャー 変態糞土方 淫夢 No.03 わからん ランサー AKYS 淫夢 No.04 TDN 淫夢 ライダー TNOK 淫夢 No.05 平野源五郎 淫夢 キャスター KBTIT BLEACH No.06 MUR 淫夢 アサシン 閉廷おじさん(閉廷おじさん) 淫夢 No.07 しんだ バーサーカー オランウータン 淫夢 No.08 ALISON兄貴 淫夢 定義不能 野獣先輩 淫夢 外部リンク うせやろ? 下北沢聖杯戦争@wiki スレッド 下北沢聖杯戦争 part114514 「 い ち ま ん え ん く れ た ら し ゃ ぶ っ て あ げ る よ 」
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「それでね、やっぱりこれかなって。」 「でもお昼にも食べたでしょ。」 「ほら、家で作るのと違うし。」 「焼きそば家で作ったことないからわかんないわ。」 しれっとNPCに暗示をかけしれっと鍵を受け取りしれっと衛宮切嗣達が拠点にしたのは、家主が勝手知ったる衛宮邸。そこで竜堂ルナはやけに馴れた手つきで切嗣に監視されたバーサーカーに監視されたアーチャーに監視されながら夕飯の焼きそばを炒めていた。 話は四時間ほど前にさかのぼる。バッティングセンターで衛宮切嗣は、この聖杯戦争で始めてと言えるまともな魔術師と出会った。出会ったといってもNPCなので結局切嗣はルナ達以外の他の参加者とは出会っていないも同然なのだがそれはともかく、彼はそこで魔術師としてNPCから聖杯戦争の情報を聞き出すことに成功していた。 曰く、冬木の聖杯は遠坂家当主の遠坂凛らにより数年前に破壊されたはずなのにどういうわけかまた聖杯戦争が行われている。 曰く、その遠坂凛は今はロンドンにいるはずだが行方不明になっていて聖杯戦争の監督役を務められる人間が誰も冬木にいない。 曰く、そのために神秘の秘匿が行われていないとして魔術教会や聖堂教会が明日にでも介入してくる。 曰く、それに先立って警察や自衛隊が冬木に入り表向きの事態の収拾を図る。 自衛隊が出張る時点でもはや事態の収拾どころの話ではないと日本の事情に通じた魔術師ならばわかるだろうが、それでも動かさなくてはならないレベルで深刻な影響があるのだろうと切嗣は察した。この時切嗣は始めてカルナの姿がインターネットを通じて全世界に目撃されたことを知ったのだ。彼としては確かにカルナの姿はそれこそ千人単位で見られたと想定していたが、それは第四次聖杯戦争の海魔等も同じである。あの時も相当事後処理に手間取ったというがそれはあくまで日本の一部で話題になる程度のものでありまさか世界規模で注目されることになるなどとはさすがに考えていなかった。聞けば、既に十カ国以上のマスメディアと、十や二十では済まない数の外交官が冬木に入っているという。いわんや日本のテレビ局などドラマの再放送を潰してまで冬木市を生中継し続け、テレビ東京さえもヘリを飛ばしている。二十年の間に進んだ情報化は聖杯戦争のあり方を大きく変えていたことに、切嗣はようやく気づいたのだ。 さて、ここで切嗣が抱いた感情は、まずは安堵である。幸か不幸か自分達は開戦からずっとあの色んな意味でバーサーカーな主従に振り回されたせいで全く聖杯戦争らしきことはしていない。どこの世界にサーヴァントを実体化させて連れ歩いたり一緒に食事したりバッティングセンターでバットを振るうマスターがいようか。だがそのおかげと言ってはなんだが、四人中二人がサーヴァントであるにも関わらず魔術師のNPC相手にすら聖杯戦争の参加者とは思われていなかった。あのバッティングセンターでのことも、神秘の秘匿に無頓着な子供が遊びに魔術を使ったからNPCが隠ぺいしていたというだけで、ようは子供の火遊びぐらいにしか認証されていなかったのだ。実際、アーチャーもバーサーカーも表に出ている魔力だけならば魔術師といっても通じるレベルではあるので誤認されるのもそう不思議ではないのだが嬉しい誤算ではあった。 そして次に、切嗣はあるプランを思いついた。この聖杯戦争に参戦以来何度か考えはしたが非現実的だとして頭の中で却下し、本選が始まってからはバーサーカー主従のせいで諦めていたそれだが、現実の方が大きく変わってくれたおかげで目処が立ったのだ。即ち。 「おい、もっと離れ……いや、近づけ。少しでも銃に触れればお前の首を飛ばすぞ。」 「安心して、それより早く私がアンタの首をはねる。」 「……こっちも、食事の前に血生臭いことはしたくないさ。」 「ご飯の時ぐらいなかよくしませんか……あ、切嗣さんそこのソース取ってください。」 衛宮切嗣がコートの下に提げるのは自動小銃。彼は自衛隊から装備を奪取することに成功していた。 「ほんとだ、けっこう簡単。」 話は三時間ほど前にさかのぼる。アーチャー(クロエ・フォン・アインツベルン)は自衛隊の集結地である穂群原学園のに赴いていた。バッティングセンターを後にして、切嗣がルナ達を情報収集の名目で丸め込んで避難所も兼ねたそこに向かうと、彼女は転移を繰り返して自衛隊装備の万引き、もとい奪取に勤めていたのだ――ようやく念話以外で魔術を使ったと思ったらただの泥棒だったりそのせいで知らぬ間に翠屋の同盟とも間桐邸の同盟ともホテルの同盟とも彼女の妹であるイリヤとも出会う機会をまたも逸してしまったのだが、銃とか手に入れるためだし仕方ないね――。 レンタルしたekスペースの後部座席を倒して荷台を広げると、アーチャーの不在についてバーサーカーから問い詰められる切嗣に足止めを任せて軍事物資を詰め込んでいく。そして素早く切嗣の元に戻り、バーサーカー(ヒロ)をなだめてから再び転移で泥棒し、詰め込み、なだめに戻る。この三拍子をぐるぐる繰り返しながら彼女は荷台に武器を詰め込めるだけ詰め込んでいた。はっきり言ってやっていることは相当地味である。ただ監視の目を掻い潜って実体化して手に持てるだけ物を持って車までワープしているだけだ。だが車に戻って他の場所で情報収集をしようという段になってバーサーカー主従が武器庫と化したそれに驚いたり席が二つしかなくなったのでサーヴァント二人は霊体化して屋根の上に乗るはめになったり自衛隊員が青い顔をしながら血眼になってたりともろもろあったが、こうしてアーチャー主従は大量の武器をついに入手することに成功したのであった。 ところで転移というのはそれなりに魔力を消費する魔術である。彼女はマスターである切嗣がイメージする、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンのイメージに引きずられている為に小聖杯としてのイリヤが強く出ているので燃費の軽いサーヴァントとなっていて、更にマスターの切嗣も魔力を持っている上に主従の相性も良いので、普通ならば魔力切れなどという事態は起こりにくいのだが、やはり何事にも例外はあるのだ。さしものアーチャーも何度も何度も転移を繰り返せばガス欠になるのは避けられなかった。 アーチャー主従がバーサーカーと縁を切らずに衛宮邸を陣地に選んだのはそこにある。幸運にも、バーサーカー主従はアーチャーの消耗には気づいていなかった。ならば拮抗状態を維持しながら有事の際の盾にできると踏んだのだ。彼等が魔力供給をするまでの。要するに衛宮邸はヤリ部屋である。 アーチャーとしては、魔力供給は必要とあらば吝かではなかった。魔力補給のスキルでルナとバーサーカーからは魔力を効率良く収奪できる。できるし吝かではないのだが、だからといってやりたくはないのだ。彼女にだって誰とキスするか選ぶ権利がある。 ルナとキスすればイリヤ程とは言わずとも相当の魔力を獲られるだろうが、申し訳無いがルナへの好感度の点でノーサンキューである。吸い殺して良いのなら苦渋の決断もしなくはないが、さすがにキスで人を殺すのはアーチャー本人としても如何なものかと思っていた。 バーサーカーなど論外だ。というかそんなことをしようとすれば確実に殺しに向かってくるだろう。このアーチャーの考えは正しく、もしそんなことを提案すればバーサーカーは己とマスターの貞操のために割りと真剣に同盟の破棄も考え出すので縁を切りたいアーチャーとしてはある意味正解ではあるのだが、それはバーサーカーの狂化スキルを作動させかねない諸刃の剣でもあるので自重しておくのがベターである。 というわけでこうなると残っているのは一人だ。つまり切嗣だ。同性ではないため本来は魔力供給の効率はそこまで高くはないのだが、父娘であるために相性はバツグンであるのが大きなメリットである。と同時に大きなデメリットでもあった。さすがに彼女としても実の父親とキスするのには若干の抵抗がある。一等親はまずいだろ一等親は。 どうするにしてもとりあえずシャワーを浴びてから考えたい。略奪した武器を自衛隊に見つからぬように素早く学校から離脱すると、クロエ主従は早急に拠点を探していったん落ち着くことを選んだ。いつまでも根無し草というわけにはいかないからだ。そうして切嗣が拠点と決めたのが、ここの冬木でも変わらずにあった衛宮邸であった。 「焼きそば!」 ずるずる。 「うん、おいしいっ!」 「改めて考えるとサーヴァントは食べる必要は無いのではないか……あ、美味しい。」 「なんだろう……無駄に美味しくてイラッとくる。」 (悪くない。) そうこうあって衛宮邸、順に入浴を終えた一同は互いに間合いの一歩外に座りテーブルを囲んでいた。 元の家主が丁寧だったのか屋敷を管理していた人間が気配りのできる人間だったのかは不明だが、衛宮邸には拠点として生活を送る上で欲しい物は一通り揃っている。さすがに細々とした日用品は買いたさざるをえなかったが、彼が生前誂えた鳴子もそのままあり、懐が寂しい切嗣にとってはこれ以上ないものと言えよう。もっともあまりに自分の知るその家とそっくりなそれになにか居心地の悪いものを感じるのも確かだが。 何はともあれ念願の拠点が手に入ったことは全員にとってプラスであるのは間違いなかった。食事と休息でそれぞれの魔力もある程度は回復している。この時時刻は八時過ぎであった。 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ そして現在、時刻は零時五分前。 「さてさて……」 クロはいつもの赤いアレではなく、いくらか落ち着いた感じのパジャマに身を包み布団の上で正座していた。 バーサーカー達ははなれで既に就寝に入りつつある。丸一日近く続いた冷戦は、多少の距離をとって睨み合う程度には落ち着いていた。そしてバーサーカー達は知らないことだが、彼女達が仮にクロ達を襲おうとすればその時点で鳴子が鳴り危機を知らせる。あのわかりやすい二人ならば確実に引っ掛かるであろう。誰にも邪魔させない―― 「――スキン付けないほうが良いかな。」 切嗣は襖一枚隔てた隣室で盗んできた銃の手入れを行っている。かすかに油の匂いが漏れ出るそれをクロは小悪魔の眼光で見つめた。 父娘共にいくらか休んで魔力を回復しているが、やはり未だ本調子とは言えない。今夜中に戦闘が無いのなら急ぐ必要もないが、今日一日を振り返るとそれに期待するのは些か虫が良すぎるだろう。そしてなにより、あのバーサーカー達というイレギュラーが存在することをこれまでで散々に痛感している。彼女達がいなければ本日のクロ達の動きは全く違ったものであっただろう。ならば不測の事態の備えとして手っ取り早くパスを拡げて魔力供給するのも戦略の一つである。別にクロがエッチしたいが為にこんなことを考えているわけではないということだけはハッキリとさせておこう。 さて、ここでクロには三つの選択肢がある。つまり、Aか、Bか、あるいはCかだ。 Aの場合は、普段彼女がやっている通りの魔力供給であるため非常に安定して行えるのがメリットだ。同性でないためいくらか勝手は違うが、親子ならば効率良いはずである。もしやるのであればこれが望ましいであろう。なにより健全だ。 Bの場合は、手続き的にはぺろぺろからのちゅーちゅーからのごっくんである。厳密に言えばぺろぺろは省けるしなんならちゅーちゅーもオミットできるが、しかし間違って顔に掛けられる可能性を考えればここは安定を取るべきであろう。ゴムに出したものを啜って飲むという手もあるが、さすがにそんな痴女みたいな変態っぽいことはしたくない。粘膜の接触により精神の同調を図れることもあり、基本に忠実に行くのが望ましいと言える。ただ一つ問題があるとすれば、クロ個人としてはキスしたこともない相手とそういうことをするのは存外憚られるということだ。 Cの場合は、まず物理的な問題が立ちはだかる。クロは確認したことがないのでわからないが、果たして挿入るのか不透明だ。これは大きなリスクである。聖杯としての力を使えば多少の困難も無理でこじ開けられるが、そもそも魔力目的でやるのに魔力消費をしてしまえば本末転倒甚だしい。そこでマリモクの観点からすると妥協案として浮かび上がってくるのが、彼女の鶴翼三連が如く後ろを使うという方法である。こちらならある程度の冗長性があるので諸々のリスクを軽減できる。しかし、どうだろう。前より先に後ろというのはアブノーマルが過ぎるのではないだろうか。だいたい近くのコンビニにイチジク浣腸を買いに行くなど恥ずかしすぎる。また根本的な問題としてどの程度魔力供給できるのかがブラックボックスだ。どうせ使わないところに生命力を貯めるくらいなら少しでもクロに還元するのは悪いアイデアではないのだが、体内の深部での接触が効率的とはいえどあいにく彼女の知識を持ってしても前と後ろのどちらの方が効率が良いかはわからないのである。なんだかエロゲみたいな話だが実際そうなんだからしかたない。人体はそれそのものが神秘なのだ。 むふー、と息を吐くと枕元のティッシュの位置を微調整する。やるんなら早い方が良い。しかし、そうやすやす決断を下して良いものでもないのだ。今後に大きく関わってくる。ちらっとクロは時計を見た。まもなく零時。残り数十秒で決断できないのなら、やめておくのが良いだろう。確かに聖杯戦争が激化すると予想される夜を今のコンディションで迎えるのは怖いものがあるが、だが同時に魔力供給後のコンディションに不安があるのも間違いない。万が一痔などで遅れを取りでもすれば目も当てられない。初めては血が出るという伝承を考えればやらないのもあるのだ。だいたいローションもないしそれに―― 『――マイ――スト――なさ――すか――』 『――!?念話っ!』 突如頭の中に響いた声でクロは意識を己の内から外へと向けた。目の端に見えた時計の短針と長針は重なり、秒針のみが機械的に動いている。いつの間にか日付は変わっていた。 するりと襖も開く。切嗣は口に指を当てて耳を済ませているようで、クロもそれにならった。 『―なさん―一目は――しょうか―こんばんは、私―ルーラ――達を開始―します。』 なおも念話は続く。その内容から、これがルーラーの通達だと理解した。聖杯戦争の進捗、それによる被害、そして唐突な期間の短縮。話し手のあどけない口調に対してあまりにも重要な情報が次々に伝えられていく。そして念話からイリヤの名前が出てきてクロと切嗣が目を合わせた次の瞬間、念話がイリヤのサーヴァントの真名を告げた途中でいきなり終わり、一泊置いて轟音と地鳴りが響いた。 (残り十六組――七騎じゃなくて十六騎、ううん、それ以上、クラスのダブりもある――) (NPC――そう言うからには管理してるはず。じゃあバグ?それともわざと――) (討伐令――生死問わずで、五組、五画の令呪、一組一画?――) (通達の中断――ルーラーが殺された、ないし襲われた……ルーラーも恐れない、違う、恐れてるからこそ邪魔な存在を消しに動いた――) (イリヤ――ランサー・カルナのマスター……ハメられたの、それとも、どうして――) 「アーチャーさん!切嗣さん!大丈――」 「――!いつの間にっ!」 混乱するクロのすぐ後ろから聞こえたのはルナの声。転移かと見まごうようなステップで背後に現れた彼女に、クロは反射的に投影を行うと両手に持ったそれを振り抜いた。それをルナは「うわっ!」と一つ叫び声を上げると共に裏拳で弾き飛ばす。左右に飛んでいった双剣が襖の前で一瞬止まり、逆回しのように戻ってくる。鳴子が鳴る。挟み撃ちする形でルナに迫る白と黒のそれを髑髏の左于が掴むとその双眸から睨むように炎が上がった。 「説明してもらおうか……色々と、な。」 ヒロの目が怪しく憎悪に揺らめく。その手から立ち上る熱気にクロの頬を汗が伝った。 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 「転移に暗示とは、弓兵とは思えない器用さだな。」 「ありがと。鎌仕舞ってくれる?」 検問を暗示でやり過ごすと切嗣は車の南下を再開する。目標は、深山町の端、南部の森。そこに人知れず存在するアインツベルン城である。 「ランサー・カルナの居場所に心当たりがある。」 衛宮切嗣がそう切りだしたのは、アーチャー・クロエの喉にバーサーカー・ヒロの大鎌が突きつけられている時のことであった。急に後ろから声をかけて驚かせた、とルナが謝罪するもサーヴァント同士が睨み合う一触即発の状況で、その口から発せられたのは、この状況とは何ら関係のないことである。 舐めているのか?そうヒロは疑心と反感を強めるも、鎌を努めて抑えクロの頸を撥ねぬようにする。先のアーチャーの振る舞いは非礼の極みでありこちらにも一里の非はあれど今ここでその魂を冥界に送ってもなんら問題はないが、彼らにはまだ利用価値がある。もっとも、魔力を消耗しているこの二人を切り捨てたところで痛手ではないが、だがだからこそ殺す価値がない。その気になれば何時でも殺せるのだ、ボロ雑巾のようになるまで利用するのが賢い選択であろう。 「話せ。」 故にここは切嗣の誘いに乗る、そうヒロは選んだ。 「さっきルーラーに呼ばれたカルナのマスター、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは僕の娘だ。」 「……なんだと?」 クロが思わず切嗣を振り向く。その動きに思わず撥ねそうになるも、ヒロは堪えて切嗣に問い掛けた。 「正しくは、僕の娘と同姓同名に聞こえた。確かめるためにも行きたい場所がある。」 「娘か……父娘で揃って聖杯戦争のマスターになる、か。偶然にしては出来過ぎだと思うが?」 「そうだな。だから偶然じゃないと思う。僕が聖杯戦争に参戦したから巻き込まれたのかもしれない。それを確かめたいんだ。」 切嗣は、イリヤとの関係について嘘をつかず正直に答えた。それがもっともこの状況を切り抜け次に繋がると考えたからだ。 普通に考えれば、こんな話は誰も信じない。どう言い繕うと無理がある。故にバーサーカーは乗ってくると、切嗣は信じていた。こんな見え透いた嘘であるが故に、バーサーカーは切嗣に言い訳を続けさせる猶予を与える、と。 「で、場所は?」 「南部の森だ。そこには城がある。魔術で隠蔽されているがね。」 「――フフフ、バカバカしくていっそ笑えてくる。随分とこの街について詳しいな。」 「ああ、元となった街に五年間住んでたことがあるからな。」 「たいがいにしろ。随分とお前は聖杯戦争に縁があるな?」 ここだ。切嗣は見つけた。 「僕はリピーターなんだ。1994年。今から二十年前に行われた、第四次聖杯戦争の参加者だ。」 「どんどん話が大きくなるな。続けろ。」 「そして1999年に死んだ、はずだ。気づいたら15年後になっててこの聖杯戦争、第六次聖杯戦争のマスターになっていた。」 「……待て、聖杯戦争は十年置きに行われるのか?」 「そもそも聖杯というのは元を正せば魔力の塊だ。サーヴァントを生贄に魔力を増幅させるが、そのサーヴァントを喚ぶ為に元手となる魔力が必要となる。普通は時間経過で魔力を少しずつ蓄積するが、前回の聖杯戦争の魔力がプールされるなりして残っていれば、時期を早めるのは可能だろう。」 「その……聖杯ってどんな形してるんですか?」 「僕も詳しいことは知らないが、赤と黒の泥状の魔力をしている。色の通り、触れればろくでもないことになる。」 「……2004年……赤と黒の泥……」 この時、切嗣も想定外であるが、ルナとヒロは切嗣の与太話を一気に信じることとなった。全くの偶然であるが、彼のその言葉はルナの経験と重なる部分があったのだ。彼女は2004年も暮れの冬、魔力の塊である聖杯同様に妖力の塊と言える『悠久の玉』と呼ばれる一種の願望器を自分の弟と争っている。玉と杯という違いはあれど、その力の見た目は色といい形といい類似している。そしてなにより、ルナも切嗣と同様に死んでここに来たのだ。実はルナはあの時死んでいなかったのだが、ルナ本人としてはその違いに気づく手はない。そしてそんなことはルナにとってどうでも良かった。『死んだ人間が聖杯戦争に招かれ』て、『家族で聖杯戦争に巻き込まれる』のならば、自分の弟であり目の前で死んでいったタイを救えるかもしれない、会えるかもしれない。そう思うと、もうなにもかも耳に入らなかった。 「案内してください、切嗣さん。」 「ルナ!」 「その森って、さっきの学校の近くにあった森ですよね。そこにお城があるんですね?」 「ああ、前回僕が拠点とした場所なんでね。仮に彼女がいるなら、まずそこを拠点とするはずだ。」 「くだらん!城一つ隠蔽するだと?それを行うためにどれほどの手間暇が掛かるかわからず言っているのか!」 「そのアドバンテージがあるから僕は聖杯戦争に乗ったのさ。信用できない気持ちもわかるが、なんなら令呪を切ろう。」 「バーサーカーさん。」 「『令呪を持って命ず、アーチャー、バーサーカーとそのマスターの竜堂ルナに攻撃するな。』」 「!!お前……」 「バーサーカーさんっ!」 「さあ、どうする?」 「世迷い事を!ここで死「バーサーカーさんごめんなさい!『切嗣さんとアーチャーさんに攻撃しないで!!』」――なんだとっ!?」 「……君のマスターは、乗り気のようだが?」 クロの頸からぶるぶると震えながら、ヒロはゲート・オブ・ヘブンを離す。忌々しい、と顔に書いてあるかのような表情で切嗣を睨むと、座布団の一つにどっかと腰を下ろして、「いつ出発する」と言う。賭けに勝った。切嗣は心中で安堵しながらも「一時間後だ、さっきから事態が動いている。最低限の情報収集をしたい」と告げる。縁側に出ると新都の方で煙が上がっていた。 ルナが反応してきた辺りでバーサーカーから標的を移したが、その切嗣の狙いは思いの外うまくいった。先に虎の子の令呪を切ってみせれば落ちるとまでは読んでいたが、あちらも令呪を切ってくるとは嬉しい誤算である。期せずしてこれで後顧の憂いがなくなった。縁を切ることは難しくなったが、肉壁としては使えるだろう。 『念話で聞いてたのと違うんだけど?』 『すまない。それに令呪も……』 『ま、いいけど。後ろからバッサリやられることはなくなったわけだし。それにさっきの令呪で少しは魔力の足しになったしね。』 付け加えるならば、ヒロに拘束された時点で、切嗣はクロへ転移により拘束から逃れてバーサーカー主従を殺すように指示していたのだが、そんなリスキーな方法を取らずに場を収められたのもラッキーだ。彼としても娘に同年代の子供を殺させたくない。 情報収集とアインツベルン城へ出発するために動き始めた一同を見て、切嗣は懐からガムを取り出すと奥歯で噛み締めた。 「見えた。あの森だ。」 そして現在、検問を抜けた切嗣達は森の中へと車を走らせようとしていた。近づき難い雰囲気のそこは魔術師ならばある種の結界が張られていると察することができるだろう。鬱蒼とした下草が生える一見道なき道を往くと、少しして小道が出てきてひたすら一本道を進む。 「明らかに人の手の入った道か。」 「嘘じゃないとわかったかい。」 「ふん。」 「……まあ、気になることがないわけじゃない。そろそろ出てきてもいいはずなんだが。」 「城か?迎撃か?」 「迎撃だ。森に入った段階でこっちの動きは筒抜けのはずなのに、全く動きがない。アサシンのクラスか?」 拍子抜けするほどなにもなく車は進む。少しして全員の前にいかにもな城が現れた。 「……小さいが、確かに、城だな。」 「すっごい大っきい……」 「轍が残っている。ということは……」 小雨がパラつくなかそこに鎮座するアインツベルン城は、その威容と相まってホラー映画にでも出てきそうな存在感がある。周囲を捜索していたクロが戻ってくると、切嗣は玄関に車を横付けにした。 「どうする。」 「正面から行く。あの城はどこから攻め込もうと同じだ。」 「小細工の一つでもするのかと思ったがな。」 「無駄だよ。それに中の人間を刺激したくない。」 切嗣はクロに目配せすると銃のセーフティを確かめた。誘い込まれているのか違うのかはわからないが、城の内部からはハッキリとサーヴァントの気配がする。この距離だと隠蔽の魔術でも抑えられぬプレッシャーがある。 「行こうか。」 一呼吸置いて言うと、まずヒロとクロがその扉の前に現れる。その大きさを感じさせぬ軽さで扉が開くのを見ながら、切嗣とルナは車から降りた。こちらにいるということは、つまりは切嗣の方のイリヤなのであろう。そう考え、サーヴァント達に続いて城へと足を踏み入れると―― 「……色々と聞きたいことあるんだけど、あ~、何から聞けばいいかな…そのムキムキのサーヴァントってカルナ?」 「……私のバーサーカーがあの金ピカと同じに見える?こっちも聞きたいんだけど……あなた、サーヴァント?」 「どういうわけかね。で……そのボロボロの銀髪のオッサンは?」 「アサシンよ。ハサンじゃないみたいだけどね。」 ――そこにはアサシン・千手扉間がバーサーカー・ヘラクレスにのしかかられ五体投地していた。 さて、千手扉間には飛雷針の術という自らが開発した術がある。これは事前にどこかにマーキングしておくことでそこにワープできるという類の忍術だ。そしてこれは彼しか知らないことだし知ってたとしても忘れていたと思うが、彼はヘラクレスの石斧、アレにこれまた彼の開発した術である影分身でマーキングしてたのだ。 さて、千手扉間にはホテルの同盟のサーヴァントとしてカルナと戦う役目があった。だが常識的に考えてほしい、マスターの九重りんはパンピーのJSだし穢土転生に起爆札に水の無い所で水遁など扉間はチャクラを使いまくっていたのだ。このコンディションでは、悔しいが足手まといにしかならないと扉間は明晰な頭脳で客観視していた。 「飛雷針の術!」 「■■■■■■■■■■!!!」 「グハアッ!!?」 「バーサーカー?どうし――え?」 というわけで他のサーヴァントを囮に残し、カルナの宝具で死んだと見せかけられるタイミングでバーサーカーの元へ逃げたのであった。ちょっとバーサーカーは狂化してるはずなのに心眼スキルで素早い反応してきたりマスターのりんが自殺したりというアクシデントはあったが、彼はなんとか生き残っていたのだ。 「アーチャーさんが、二人!?」 「どういうことだ切嗣!説明しろ!」 「ここに来るってことはもしかしたらって思ったけど、やっぱりそうなんだ……」 「あとお前は誰だよ。」 一方のイリヤとしては突然銀髪のオッサンが現れてヘラクレスにのされたりそもそも自分の名前が何故かカルナのマスターとして呼ばれたりと困惑を深めていた。その上雑魚サーヴァントが接近してきたと思って招き入れてみれば何故か自分の父親が自分と良く似た少女をサーヴァントにして現れた。もう一人の方のマスターらしき少女も銀髪で赤目とホムンクルスらしき特徴がある。何よりその魔力は自分程ではないが相当のものだろう。バーサーカーはよく分かんないからいいや。 そんな混乱する一同の声を、ヘラクレスによって床にめり込まされながら扉間は聞く。扉間自身もよく状況がわからないが、まだ運の目がありそうだ。このままでは確実に消滅するが、また足掻ける。全員の気配に気を配りながら、口を挟めるタイミングを伺うのであった。 【アインツベルン城/2014年8月2日(土)0201】 【衛宮切嗣@Fate/zero】 [スタンス] 対聖杯 [状態] 五年間のブランク(精神面は復調傾向)、魔力消費(小)、精神的疲労(中・消耗中)。 [装備] 89式自動小銃(弾丸20×6)@現実、防弾チョッキ2型(改)@現実、個人用暗視装置JGVS-V8@現実 [道具] 89式自動小銃数丁@現実、弾丸数千発@現実、00式個人用防護装備数個@現実 [残存霊呪] 二画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯戦争を止め、なおかつクロエを元の世界に返す。 1 イリヤと話す。 2 アーチャーに色々と申し訳ない。 3 アサシンを警戒。 4 ルーラーの動きに疑問。 5 バーサーカー主従と縁を切りたい。 [備考] ●所持金は3万円ほど。 ●五年間のブランクとその間影響を受けていた聖杯の泥によって、体の基本的なスペックが下がったりキレがなくなったり魔術の腕が落ちたりしてます。無理をすれば全盛期の動きも不可能ではありませんが全体的に本調子ではありません。 ●バーサーカーとそのマスター・ルナの外見特徴を知り、同盟(?)を組みました。可能ならば同盟を解消したいと考えています。 ●コンビニで雑貨を買いました。またカバンにアーチャー(クロエ)の私服等があります。 ●セイバー(アルトリア)への好感度が上がりました。 ●eKスペース(三菱)のレンタカーを借りました。 ●『令呪を持って命ず、アーチャー、バーサーカーとそのマスターの竜堂ルナに攻撃するな。』の令呪を使用しました。 【アーチャー(クロエ・フォン・アインツベルン)@Fate/kareid liner プリズマ☆イリヤ】 [スタンス] 奉仕(切嗣) [状態] 筋力(10)/E、 耐久(20)/D、 敏捷(30)/C、 魔力(40)/B、 幸運(40)/B、 宝具(0)/- 魔力消費(小)、精神的疲労(中・消耗中)。 [思考・状況] 基本行動方針 衛宮切嗣を守り抜きたい。あと聖杯戦争を止めたい。 1 イリヤと話す。 2 アサシンを警戒。 3 魔力供給をしたい。 4 ルーラーの動きに疑問。 [備考] ●ルナをホムンクルスではないかと思っています。また忌避感を持ちました。 ●バーサーカーと同盟(?)を組みました。 可能ならば同盟を解消したいと考えています。 ●『令呪を持って命ず、アーチャー、バーサーカーとそのマスターの竜堂ルナに攻撃するな。』の令呪の影響下にあります。 【竜堂ルナ@妖界ナビ・ルナ】 [スタンス] 聖杯狙い [状態] 封印解除、妖力消費(中)、靴がボロボロ、服に傷み、精神的疲労(小)。 [残存令呪] 二画 [思考・状況] 基本行動方針 みんなを生き返らせて、元の世界に帰る。バーサーカーさんを失いたくない。 1 アサシンを見張る。 2 アーチャーさんが二人!? [備考] ●約一ヶ月の予選期間でバーサーカーを信頼(依存)したようです。 ●修行して回避能力が上がりました。ステータスは変わりませんが経験は積んだようです。 ●第三の目の封印を解除したため、令呪の反応がおきやすくなります。また動物などに警戒されるようになり、魔力探知にもかかりやすくなります。この状態で休息をとっている間妖力は回復しにくいです。 ●身分証明書の類いは何も持っていません。また彼女の記録は、行方不明者や死亡者といった扱いを受けている可能性があります。 ●バーサーカーの【カリスマ D-】の影響下に入りました。本来の彼女は直接的な攻撃を通常しませんが、バーサーカーの指示があった場合それに従う可能性があります。 ●『切嗣さんとアーチャーさんに攻撃しないで!!』の令呪を使用しました。 【バーサーカー(ヒロ)@スペクトラルフォースシリーズ】 [スタンス] 聖杯狙い [状態] 筋力(20)/D+、 耐久(30)/C+、 敏捷(20)/D+、 魔力(40)/B++、 幸運(20)/D、 宝具(40)/B+ 実体化、最低限の変装、精神的疲労(小)。 [思考・状況] 基本行動方針 拠点を構築し、最大三組の主従と同盟を結んで安全を確保。その後に漁夫の利狙いで出撃。 1 アサシンを見張る。 2 衛宮達を利用しながら好機を待つ。 3 ルナがいろいろ心配。他の奴等に利用されないようにしないと。 4 ルーラーの動きに疑問。 [備考] ●新都を偵察しましたが、拠点になりそうな場所は見つからなかったようです。 ●同盟の優先順位はキャスター セイバー アーチャー アサシン バーサーカー ライダー ランサーです。とりあえず不可侵結んだら衣食住を提供させるつもりですが、そんなことはおくびにも出しません。 ●衛宮切嗣 アーチャーと同盟を組みました。切嗣への好感度が下がりました。 ●衛宮切嗣が更に苦手になりつつあります。 ●神を相手にした場合は神性が高いほど凶化しずらくなります。 ●『切嗣さんとアーチャーさんに攻撃しないで!!』の令呪の影響下にあります。 【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】 [スタンス] 聖杯狙い [状態] 程度不明の命に別状はない怪我(全て治癒中)。 [装備] 特別製令呪、黒のワンピースとソックス、私服(陰干し中)。 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 全員倒して優勝する。 1 切嗣と話す。 2 アサシンを警戒。 3 明日の朝九時に間桐邸に向かう。 4 別行動しているキョウスケが気にならない訳ではない。 5 ルーラーの放送に疑問。 [備考] ●第五次聖杯戦争途中からの参戦です。 ●ランサー(幸村)、ランサー(アリシア)、アサシン(扉間)のステータス、一部スキルを視認しました。 ●少なくともバーサーカー(サイト)とは遭遇しなかったようです。 ●自宅はアインツベルン城に設定されています。 ●アサシン(千手扉間)がハサンではないことに気づきました。 ●アーチャー(赤城)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)、ルーラー(イチゴ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)のステータスを確認しました。 ●間桐慎二と色丞狂介に疑念を抱きました。 ●セイバー(アルトリア)の真名を看破しました。 ●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。 ●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。 ●ルナをホムンクルスではないかと 思っています。 【バーサーカー(ヘラクレス)@Fate/stay night】 [スタンス] 奉仕(イリヤ) [状態] 筋力(50)/A+、 耐久(50)/A、 敏捷(50)/A、 魔力(50)/A、 幸運(40)/B、 宝具(50)/A、 実体化、狂化スキル低下中。 [思考・状況] 基本行動方針 イリヤを守り抜く、敵は屠る。 [備考] ●石斧に飛雷針の術のマーキングがあります。 【アサシン(千手扉間)@NARUTO】 [状態] 筋力(15)/C、 耐久(15)/C、 敏捷(25)/A+、 魔力(10)/B、 幸運(5)/E、 宝具(0)/EX 気配感知、魔力不足(極大)、魔力不足により宝具使用不可、魔力不足によりスキルに支障、魔力不足により全パラメーター半減、飛雷針の術の発動不可のため敏捷が+分アップしない。 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯を用いて木の葉に恒久的な発展と平和を。 1 りんの死に疑問。 2 消滅するまでの間に日野茜らの聖杯を悪用しなさそうな人間の情報とイリヤスフィール バーサーカー主従が聖杯戦争に乗っていることを他の二組に伝える。 3 茜らを任せられないと判断した場合はアーチャーかバーサーカー(ヒロ)を殺しそのマスターに再契約を持ちかける。 4 上記のサーヴァント暗殺に失敗した場合、自爆して聖杯を悪用しようとする人間を一人でも多く殺す。 [備考] ●予選期間中に他の組の情報を入手していたかもしれません。 ただし情報を持っていてもサーヴァントの真名は含まれません。 ●影分身が魂喰いを行ないましたが、戦闘でほぼ使いきりました。その罪はバーサーカー(サイト)に擦り付けられるものと判断しています。 ●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。 ●バーサーカー(ヘラクレス)に半端な攻撃(Bランク以下?)は通用しないことを悟りました。 ●バーサーカーの石斧に飛雷針の術のマーキングをしました。 ●聖杯戦争への認識を改めました。普段より方針が変更しやすくなっています。 ●九重りん、ワイルド・ドッグ、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)への印象が悪化しました。 ●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。 ●イリヤ(kl)の髪の毛を入手しました。日野茜の病室に保管されています。 ●ルナをサーヴァントと、うず目を万華鏡写輪眼と、妖力を九尾のチャクラと誤認しました。 ●ホテルの上から三階までを陣地化しました。 ●ホテルマンの一部を幻術の影響下に置きました。 ●美遊・エーデルフェルトからサファイアを介して得られた魔力はスキルと宝具の使用で全て使い果たしました。魔力供給がなされない場合数分以内に消滅します。
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「うわっ!寝過ごしーーあれ‥‥?」 チョコこと黒鳥千代子が目覚めたのはもうすぐ6時になろうかという時だった。カーテン越しに射し込んだ朝日に照らされた時計を見て思いの外早起きしてしまった自分を恨めしく思いつつ、あと二時間は寝れるなとすぐさま二度寝に入る。 しかし。 「寝れない‥‥」 なぜな目が冴えている。眠気がやって来るどころかなにか大事なことをやり忘れているような気すらしてくる。頭にかかったもやを払うかのように頭をふり、考えること数十秒。 「‥‥あー、ドリルやらなきゃ。」 ようやくすっきりしはじめた頭で思い出したのは宿題のことだった。これをやらないとまた怒られる。いやいやながらも起き上がり学習机に座って始めようとするが。 「あれっ、どこだっけ?ドリルドリルドリーードリル?」 今度はドリルが見つからない。そもそもどんなドリルかがまず思い出せない。これはまずい。宿題を忘れているのに忘れていたことを忘れているパターンだ。ランドセルにはそれらしいものもないしもしかして学校に忘れたのだろうか。 「ううん、学校には持っていってないし持っていけるわけない。それに松岡先生はあんなガミガミ怒らない‥‥あれ?じゃあーー」 じゃあ誰に怒られていたのだろうか。そもそもなぜ学校に持っていってはいけないのか。そんなドリルってどんなドリルなんだ。松岡なんて先生は学校にいただろうか。そんなまともな先生だっただろうか。考えれば考えるほど頭に霧がかかり、そして。 「ーーよし、寝よう。」 チョコは考えることをやめた。なんかめんどくさくなってきた。ぶっちゃけ思い出すとろくでもないことになりそうな気もした。元はオタク系だもん、しかたないよ。しかしここで問題が起きる。既に目は冴えてしまっていていかんせん寝つけない。かといってこんな時間に寝ないのもいかがなものか。結果眠くなるまでとりあえず魔法書でも読んでごろごろしてようと思い本棚を見る。だが、そこに肝心の魔法書がない。 「ウソ、なんで!あれ!?」 めっちゃ驚いた。趣味の魔法書が一冊もなくなってるとか地獄少女全巻無くしたのの半分くらいのレベルだ。これにはさすがに焦り魔法書を慌てて探し始めるも、ない。出てくるのは輪島塗の箸に黒いゴスロリとわけのわからないものばかりで。ほんと箸とゴスロリしかなくて。ほんと箸とゴスロリしかなくて。 「ーーあっ、そっか。あー‥‥」 ようやく思い出した、なぜ自分がここにいるのかを。なぜこんな時間に起きてドリルなんかやろうとしてたのかを。 「あたし黒魔女さんだった。」 チョコはすぐにゴスロリに着替えると紙とペンを取り出す。黒魔女修行の朝練が無くなったのはいいがそれより大変なことが既に起こっている。 聖杯戦争のルールはさっき思い出した。使い魔を呼んで戦うポケモン的なものだったはずだ。負けたら死ぬというのが実に黒魔法らしい。 チョコは書き上げた紙を見る。いわゆるこっくりさんの時に使う紙だが、彼女が黒魔女になったときを思い出しながら書いたのでキューピットさんと呼ぶべきか。 紙を床に置き、手をその上に置く。 サーヴァントを呼び出す呪文は思いつかない。ので、彼女にとって一番思い出深い呪文を使うことにした。 「ギュービッドざん、ギュービッドざん、南の窓がらお入りぐだざい」 唱えたのは始まりの呪文。彼女が黒魔女になることになった、自らの師を呼び出した呪文。 彼女が求めたサーヴァントは自らの師のようなサーヴァント。この聖杯戦争で最も頼りになるイメージを浮かべその呪文を唱える。 そして、光だした紙を直視できなくなり彼女が目をつむったときその声は聞こえた。 「お前が私のマスターか?」 その声は彼女が求めたものとあまりに似ていて。 目を開けたらとき目の前には一人の美女が立っていた。彼女の師と同じように銀髪で、彼女の師とは真反対の白ずくめの服。 薄く微笑んだその姿に思わず見とれていて。 ムニッ。 (なっ!?) 唐突にほっぺたを引っ張られた。 「令呪があるならマスターだな。最初にいっておくが私のステータスは思ったより高くなかったがお前からの魔力供給しだいで変わってくる。それと聖杯戦争についてだがまず最初は動くな。漁夫の利を狙われるのがオチだ。最初は情報を集めるんだ。敵のサーヴァントを見つけたからといって積極的に襲うのはもっての他だ。これだけの数のサーヴァントがいれば自然と徒党を組み始める。あとライダーのクラスには気をつけろ。空を飛べたり対軍宝具を持ってたりしたらマスターを狙われる。」 微笑みからは想像できない真剣な顔でそのサーヴァントはそう言った。サーヴァントは歴史上の英雄らしいから昔そういう人と戦ったこともあるのだろう。 とりあえずドラゴンは恐いって思った。 【東京/2014年7月1日(火)0620】 【マスター】 黒鳥千代子@黒魔女さんが通る!! 【参加方法】 『黒魔女さんのクリスマス』において異端審問にかけられそうになったときに持ってた輪島塗の箸がゴルフェの木片だったっぽい。 【マスターとしての願い】 とりあえず元の世界に帰って異端審問をどうにかしておばあちゃん達を助け出してあとついでに黒魔女やめたい。 【weapon】 杖(輪島塗の箸。) ゴスロリ(着てると静電気のように溜まった魔力の影響で魔法が使いやすくなる。魔法でいつもキレイ) 【能力・技能】 黒魔女三級程度の魔法は一通り覚えているが使いこなせるかは別。とりあえず人に死の呪いをかける即死呪文はうまく使えない、はず。 また彼女の世界の魔法体系のせいで『時間あたりの供給量は少ないが魔力は実質無尽蔵』というわけのわからないことになっている。供給量の上限を上げることは相当練習しないとムリ。 【人物背景】 第一小学校五年一組。通称チョコ。 黒髪おかっぱで運動神経はもちろん頭も悪い。一人と夜とオカルトが好きというニチアサの主人公には絶対になれないタイプ。 祖母が魔女であったことから黒魔法の才能があり、魔界から派遣されたインストラクターのギュービッドのもとで黒魔女の修行をしているが、いやいややらされているため本人は黒魔女になったらすぐに黒魔女をやめる気でいる。 今回異端審問官のロベに嵌められ異端審問を受けることになり、その最中になんとかしようと考えてたら聖杯戦争に参加していた。 【方針】 負けたくはない。でも傷つけたくもない。 サーヴァントに言われたことをとりあえず守る。 ていうかまずは名前を聞きたい。 【クラス】 セイバー 【真名】 テレサ@クレイモア 【パラメーター】 筋力B+ 耐久B 敏捷B+ 魔力A+ 幸運D 宝具B 【属性】 中立・善 【クラススキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 騎乗:** セイバークラスにあるまじきことだが、騎乗スキルは存在しない。 【保有スキル】 半人半妖:B その身に妖魔の血肉を取り入れた者。単独行動:Bに加えて実体化に必要な魔力が他のサーヴァントより少なくて済む効果を持つ。さらに妖魔の成り立ちから、対竜宝具の攻撃により受けるダメージが多少追加される。以下のスキルは全てこのスキルに基づく。 妖力解放:A 魔力を身体強化に注ぎ込み、筋力、耐久、敏捷値を上昇させる。総魔力量の10%以上で瞳の色が金色に、30%以上で顔つきが醜く変貌し、50%以上で身体つきが変化する。 80%を超えると元に戻れなくなり、妖魔として覚醒する。 再生能力:C 魔力を消費し、肉体を復元するスキル。有害な毒素を体外に弾くこともできる。時間をかければ切断された四肢の接続が可能。魔力の消費量に伴い、妖力解放に順じた肉体の変貌が起きる。 気配遮断:D サーヴァントの気配を絶つ。魔力とその漏洩を極限まで抑える能力。 【宝具】 『妖気探知』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000 テレサの所持する最もずば抜けた能力が、宝具として昇華された。 テレサを中心とした半径数Km圏内の魔力を感知し、位置と大きさを正確に捕捉できる。強い魔力や同じ探知 の気配なら圏外でも感知する。さらに気配遮断さえ見破ることが可能。 戦闘時には敵の魔力の大きさ、流れを一つ残らず掴み取り、全ての行動、攻撃の軌道を予測する。 『無銘・大剣(クレイモア)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1 クレイモアはテレサの元居た世界では戦士の象徴、代名詞として扱われているため、宝具として登録され た。 特殊な能力は一切無いが非常に硬度が高く、格上の宝具と打ち合ってもそれが単純な物理攻撃なら、折れる どころか刃毀れ一つ作ることは無い。 【Weapon】 『無銘・大剣(クレイモア)』 テレサの宝具でもある。 【人物背景】 人間に擬態し人を食う妖魔と、それに対抗するべく妖魔の血肉を取り入れて人外の身体能力を手に入れた、 半人半妖の戦士が戦う世界。その世界でテレサは全現役戦士のナンバー1、さらに歴代ナンバー1の中でも最強とまで謳われる存在だった。 力、素速さ、剣技の全てが並の戦士をはるかに上回り、特に相手の妖気を感知する能力が極めて優れ、妖気の流れ、強弱から動きを予測する先読みを得意とし、いかなる相手、人数であっても微笑みを絶やさず敵を殲滅すること、そしてそれ以外に特に目のつく戦い方をしないことから「微笑のテレサ」の異名を持つ。 人間にも同僚の戦士にも何も期待することなく、生き甲斐を感じる訳でもなく淡々と妖魔退治をしていたが、ある依頼で偶然妖魔に連れ回されていたクレアを助けたことで、運命が変わることになる。最初は勝手についてくるクレアを疎ましく思っていたが、クレアの追う理由がテレサがずっと押し殺してきた心の痛みを抱きしめていたいという理由だったことから、互いにかけがえのない存在となる。 その後、クレアが人として幸せをつかむことを願って妖魔を退治した村に預けたが、その村が盗賊に襲わ れ、クレアを助けるため盗賊達を皆殺しにした。その為粛清される所を、逆に他の戦士を斬りクレアのためだけに生きることを決意し、組織を離反して追われる身となった。 追手として選ばれたテレサ以下のナンバー2からナンバー5の四人という当時最強の布陣を妖力解放無しの圧倒的な強さにより返り討ちにしたが、いずれ自分の強さを超えると直感したプリシラの止めを刺さなかっ た情けが仇となり、一人でテレサを殺すため無理な妖力解放をし、限界点を越え後は覚醒を待つのみとなっ たプリシラに自分を殺すよう頼まれ止めを刺そうとした瞬間、逆に両腕を斬り落とされ、首を刎ねられて死 亡した。 【聖杯への願い】 受肉してクレアと暮らす。 【基本戦術、方針、運用法】 予選期間中は本選の準備のために潜伏。 基本は陣地に篭もり情報収集に専念し作戦を立てる。 戦闘以外の部門は魔術師らしいマスターに期待したいがたぶんムリ。 戦闘はセイバーらしく剣による接近戦を主とし戦っていくが、気配遮断のスキルを活用してマスターを狙っていくのもあり。妖力解放もマスターの支援があれば大きな戦力として数えることができる。 徒党を組むことも考慮に入れる。 あと竜種は最大限警戒。
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予算の少ない聖杯戦争 ◆NIKUcB1AGw 男は、真面目で誠実だった。 だが同時に、バカで好色だった。 ふとしたきっかけで女遊びを覚えた男は瞬く間にのめり込み、多額の借金を抱えることになってしまった。 ◆ ◆ ◆ その朝、彼は自宅である狭いアパートで寝ていた。 彼を眠りから呼び覚ましたのは、ドアをけたたましくノックする音だった。 飛び起きた彼は、すぐに何が起きているのか理解する。 逃げ出したい、という気持ちはある。 だがなまじ性根が真面目であるがゆえに、それができない。 男はノロノロと玄関に移動し、扉を開ける。 「おう、素直に出てきたか。そこは褒めてやるよ」 「ブルアイランドさん……」 そこに立っていたのは、彼が金を借りている金融会社の社長だった。 「それじゃあ貸した金、さっさと返してもらおうか」 「もう少し、もう少し待ってください。 明後日になれば給料が入るんです!」 「先月もそう言ってたよなあ。だから俺も待ってやったんだ。 だがてめえは、入った給料を全部女に貢いじまったじゃねえか。 同じ言い訳が二度通用すると思ってるのか?」 「先月は仕方なかったんです! あの子を指名してあげないと、店をクビになるかもしれなくて……」 「やかましいわ!」 男を突き飛ばし、社長はずけずけと部屋の中へ足を踏み入れる。 「現金がないなら、少しでも金になりそうなものをもらっていくぞ。 ん? なんだこりゃ……」 社長が見つけたのは、部屋の隅で埃をかぶっていた棒状の物体だった。 よく見ればそれは、この安アパートにはまるで似合わない刀剣だった。 (なんだ、あの剣は……。あんなもの、私の部屋にあるはずが……。 いや、違う。あれは私が、ずっと愛用してきた……) 男の脳裏に、今まで失っていた何かがよみがえってくる。 「美術品か? まあ、こいつの持ち物にしちゃ上等……」 「うおおおおお!!」 「なっ!」 突如雄叫びを上げながら突進してきた男に、社長は一瞬ひるむ。 その隙に男は剣を奪い取り、鞘から抜き取る。 そして驚愕の表情を浮かべる社長に向かって、刃を振り下ろした。 ◆ ◆ ◆ (思い出した……。私は、勇者ヨシヒコ!) 男……ヨシヒコは、裏路地を走っていた。 (社長が目覚めれば、血眼になって私を探すだろう……。 もうあの家には戻れんな……) ヨシヒコに斬られた社長だが、彼は死んだわけではない。 ヨシヒコが用いる剣は、「いざないの剣」。 斬った相手を眠らせ、命を奪うことなく制する剣である。 (それはそうと、私はいったいなぜこんなところで平凡な労働者として働いていたのだ……。 いや、私の頭の中に流れ込んできた情報で「聖杯戦争」とやらに巻き込まれたというのはわかるのだが……。 あまりに情報量が多すぎて、すぐには理解できん……) 改めて言うが、ヨシヒコはバカである。 与えられた膨大な知識を、即座に理解することなど不可能であった。 ましてや、走りながらなのだからなおさらである。 そうこうしていると、彼の眼前に突然白いトランプが降ってきた。 それはまばゆい光を放ち、人の形に変化していく。 「な、なんだ!?」 敵襲の可能性も考え、剣に手をかけるヨシヒコ。 やがて光が消えたとき、そこには一人の青年が立っていた。 「サーヴァント、キャスター。召喚に応じて参上した。 君の力になろう」 「あ、あなたは……」 「ん?」 召喚されたキャスターの姿を見たとき、ヨシヒコの警戒心は驚愕に吹き飛ばされていた。 とはいえ、キャスター自身に見覚えがあったわけではない。 彼が反応したのは、その服装だ。 「その格好、普段の私にそっくりだ……。 もしや、あなたも勇者なのですか!」 そう、紫のターバンにマントというキャスターの姿は、元の世界で冒険していたときのヨシヒコとほとんど同じものだった。 ちなみに、今のヨシヒコの服装はよれよれのTシャツに短パンというものである。 何せ寝起きの状態で家を飛び出してきたので仕方ない。 「いやあ、勇者は僕じゃないよ。僕の息子さ」 ヨシヒコの問いかけに対し、キャスターは柔和な笑みを浮かべながら答える。 「息子……? つまりあなたは、勇者の父親ということですか」 「そう、僕は勇者の父親。グランバニア王で、モンスター使い。 でも一番気に入ってる肩書きは、ただのさすらいの旅人。 僕はリュカ。よろしくね」 リュカが仲間になった!(ファンファーレ) 【クラス】キャスター 【真名】リュカ(主人公) 【出典】ドラゴンクエストV 天空の花嫁 【性別】男 【属性】中立・善 【パラメーター】筋力:D 耐久:C 敏捷:C 魔力:A 幸運:E 宝具:A 【クラススキル】 陣地作成:― 魔術師として自らに有利な陣地な陣地「工房」を作成可能。 リュカは全盛期を流浪の旅人として過ごしたため、このスキルは機能していない。 道具作成:E 魔力を帯びた器具を作成可能。 リュカは本来そういった能力を持たないが、クラス補正により薬草や毒消し草などの安価な消耗品なら作ることができる。 【保有スキル】 カリスマ:B 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。 Bランクであれば国を率いるに十分な度量。 魔術:B 基礎的な魔術を一通り修得していることを表す。 リュカは真空系の攻撃呪文と、回復呪文を主に用いる。 友誼の証明:C 敵対サーヴァントが精神汚染スキルを保有していない場合、相手の戦意をある程度抑制し、話し合いに持ち込むことができる。 聖杯戦争においては、一時的な同盟を組む際に有利な判定を得る。 【宝具】 『ドラゴンの杖』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1-100 最大捕捉:100人 龍の力が込められた杖。 打撃武器として振るえば、破格の破壊力となる。 また真名を解放すれば、一定時間自らの姿を龍に変えることができる。 ただしその間は「狂化」に近い状態となり、「敵を攻撃する」以外の行動が取れなくなる。 いちおう、マスターが令呪を使えば、それ以外の行動も可能になると思われる。 『集え、愛を知る魔物よ(リュカズ・ワンダーランド)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1-75 最大捕捉:80人 固有結界。 広大な草原に生前に仲間にしたモンスターたちを召喚し、一斉攻撃を仕掛ける。 なおキラーパンサーのみ、固有結界を発動しなくても単独で召喚が可能である。 【weapon】 本来なら伝説級の装備をいくつも持つが、今回はクラス制限もあってドラゴンの杖しか持ち込めていない。 【人物背景】 グランバニア国の王子として生を受けた男。 しかし生まれた直後に母・マーサがさらわれ、それを探す旅に出た父・パパスと共に各地を放浪していたため自分が王子だということは知らずに育った。 成長した後、グランバニアの王位を継ぎ、母をさらった魔王ミルドラースを討ち取った。 目の前で父を殺され、その仇に拉致され10年以上の間奴隷として過酷な労働を強いられる、 呪いにより8年間を石像として過ごす、ようやく再会できた母をその直後に殺されるなど、 その人生はあまりに不幸続きなことで知られている。 【サーヴァントとしての願い】 一人でも多くの人を助けたい 【基本戦術、方針、運用法】 クラススキルがほぼ死んでいるため、典型的なキャスターとしての運用は事実上不可能。 前線でバリバリ戦っていくことになるだろう。 幸い強力な宝具を二つも持ち、本人の戦闘力も悪くないため真っ向勝負に不都合はない。 またそのスキル構成から、仲間を集めての集団戦に向いているといえる。 【マスター】ヨシヒコ 【出典】勇者ヨシヒコシリーズ 【性別】男 【令呪】スライムのシルエット(とんがり、右半分、左半分でそれぞれ一画) 【マスターとしての願い】 巨乳のお姉ちゃ……ゲフンゲフン 特になし 【ロール】 多額の借金を抱えた、肉体労働者 【weapon】 「いざないの剣」 勇者の証である剣。 斬った相手を傷つけず、深く眠らせる。 【能力・技能】 幾度も魔王を倒した勇者であり、戦闘力は相応に高い。 ……はずなのだが、雑魚モンスターに苦戦することもあり、その戦闘力は変動が激しい。 根が単純であるため、デバフ系の魔法・技にはほぼ100%かかる。 しかしバカが幸いして、相手が一般常識を持っていることを前提とした催眠術にかからなかったこともある。 【人物背景】 カボイの村で生活していた、正直者で素直な青年。 岩に刺さっていた「いざないの剣」を抜いた(というか勝手に抜けた)ことで勇者とされ、魔王打倒のために旅立つことになる。 紛れもない善人ではあるのだが「バカすぎて空気が読めない」「目の前の問題に気を取られすぎて、最終目標を放り出す」「巨乳に弱い」など 数々の問題点も抱えている。 今回は第2作「悪霊の鍵」終了後からの参戦。 【方針】 異世界だろうと、勇者のやるべきことは変わらない。 悪を倒し、平和を取り戻す。 (まだ聖杯戦争については、4割くらいしか理解していない)
https://w.atwiki.jp/animefate/pages/34.html
数十年に一度、日本の冬木市において行われる戦いの呼び名。 戦いは全7陣営で行われ、各陣営はマスター(聖杯が選んだ参加者)とサーヴァント(マスターが召還した英霊)がペアになって戦う。 全7陣営は入り乱れ、冬木市内でバトルロイヤルを繰り広げる。 トーナメント形式ではなくバトルロイヤルのため、各所で様々な戦いが行われる事となる。 最後まで生き残った陣営には聖杯という〝あらゆる願いを叶える奇跡〝が授けられる。
https://w.atwiki.jp/222seihaisensou/pages/138.html
十二時台、マウント深山、ある魔術師。 太陽はまさに頂点に達し夏の暑さは直角に降る熱線に煽られ勢いを増す。それは新都に比べれば緑の多い深山町にある商店街、マウント深山においても同様で、日向日陰に関わらず外を出歩く者はまばらだった。 「待たせましたネ、ハリー。」 ドアを勢いよく開け入ってきた少女は、しかし律儀にゆっくりと閉めると、光の加減で緑にも見える髪を半円を描くほどの早さで振り向きながらそう言った。額に浮かぶ珠のような汗が外の暑さを黙示する。窓から見えるシュラスコ屋の屋台をちらりと見ると、「停電で昼食に買っていく人が結構多くて」と言いながらテーブル上のピッチャーから水を注ぎ一息にあおった。 「ミツルは?」 「彼にはアンケートを纏めてもらっている。話を終えるまでには来るだろう。」 汗をタオルでぬぐいながら問う少女に、老齢の男は地図を見ながら答える。空調の止まった室内は温度こそ高くはないが人から発せられる湿度に蒸され、暑さ対策で閉めきられた窓がそれに追い討ちをかけていた。 携帯ラジオから流れる音だけが空間を占めること数分。唐突に、明かりがついた。同時にエアコンが涼やかな風をもたらす。「早かったな」と男は一つこぼすとその一人言よりも小さな声で異国の言葉を紡いだ。 「それで、話というのは?そのアンケートと関係が?」 「理解が早くて助かる。まあ、まずはこれを見てほしい。」 人避けの魔術。場に生じた魔力からそれを察して本題を切りだした少女に、男は一台のノートパソコンを持ってくると彼女に向けて開く。 「ようやくパソコン買ったんですか」 「嘗めるな。ケータイだって持ってる。二十一世紀なんだ。魔術師だってインターネットぐらい使えなきゃなあ。」 購入したばかりなのだろう、なにやら色々と広告のシールも貼られたままのそれを少女は見る。 画面には画像の表示されたウインドウが幾つかあった。橋、川、ビル、病院、ファミレス、商店街。一見何の関連性のないものだが、少女にはすぐにその共通点がわかった。 「この写真冬木ですか?」 自分の住んでいる街だ。一度か二度しか行ったことはなくともそれが地元の光景であることに気づくのは魔術師でなくとも容易い。こんなものを見せるためにわざわざ呼んだわけではないだろうと、画像を次々に見ていく。 その顔が険しいものになるまでに一分とかからなかった。 「ここに写ってるのは……これじゃまるで。」 「ああ。こんな大っぴらに魔術を使うなんて、しかもこれだけのことができるとなるとアレしかいない。」 後ろからした声に反射的に振り向く。認識阻害の魔術が使われているここに立ち入れるのは、魔術師をおいて他にいない。 ――もっとも、『いなくなっていない』からこそ問題なのだが。 「魔術協会から連絡があった。ロンドンいるはずの遠坂の当主が今日の朝辺りから行方不明らしい。ついては、現地の魔術師である我々が事後処理に当たれとのことだ。」 「サーヴァントだ。そうだろう、アシヤ?」 「わかってるなら軽々しく言うな。高町が『出張』中の今は、名目上はアンタがリーダーだからな。」 扉から入ってきた少年が鞄から紙の束を男に渡し、男はディスプレイに表示された画像に映る、フライングヒューマノイドを指差しながら受け取る。 二人の間で進む話に焦れて「いったい何が起きてるんです?」と問うた少女に、少年は極めて簡潔に答えた。 「第六次聖杯戦争だ。」 「そんな……聖杯は十年前に破壊されたはずじゃ?」 「そうだ。2005年に行われた第五次聖杯戦争で破壊された。少なくとも俺たちはそう聞かされていたはずだ。」 信じられない、と顔に書いてあるかのような顔を見せる少女に少年は首肯しながら答えた。 少女は冬木に来てそれほど長いわけではなかったが、それでもあの聖杯戦争の顛末については魔術師仲間から伝え聞いていた。あれだけの大規模な儀式だ、半ば羨望を込めて冬木の魔術師達はそれぞれに探りを入れたり事後処理を手伝ったりと各々情報収集という名のおこぼれを狙っていた。そのためある程度は聖杯戦争の内情を皆が知るところとなっていたのだが、聖杯戦争はもう行われないという遠坂側からの説明もあり、その説明と矛盾する今回の聖杯戦争らしき現象はどういうことなのか…… 「第五次聖杯戦争は2004年の――?」 そこで一つ、頭の中でガチリと、歯車の噛み合わない音がした。 「どうしたのかね?」 怪訝げな声で問いかける男の顔を見る。なぜだか、その顔は無感情なものに見えた。 「第五次聖杯戦争は、2006年では……?」 「なるほどエレナ。君は2006年か。ミツル、2006年に一票だ。」 わけがわからない。「どういうことです?」と唖然としたまま聞いた彼女に、「これを見ろ」と少年は一枚の紙をテーブルに滑らせる。正の字と正の字の出来損ないが並ぶそれは、一目見て混乱に拍車をかけた。 「第五次聖杯戦争はいつ起きたか。冬木の魔術師に聞けるだけ聞いた。一番多いのが2004年。二位以降は2002年、2005年、2006年、2000年だ。」 困惑、そして混乱。 こんなことはありえない。聖杯戦争が起こるよりずっと。 なぜならそれは、自分たちのことだから。あくまでも部外者であった聖杯戦争についてではなく、それぞれの記憶であるのだから。 「――記憶が操作されている?」 「可能性はある。皆が皆、聖杯戦争は2004年に起こったことを知っているし、事実起こったのは2004年のはずだ。だが……」 「冬木にいる魔術師の大多数が2004年以外に第五次聖杯戦争が行われた記憶も同時に持っている。」 「こんなことができるのは、それこそサーヴァントぐらいのものだ。」 思わず天を仰いだ。どうやら自分はとんでもないことに巻き込まれてしまったらしい。頭がひどく痛んだ。 (なんか……もっと大事なことを忘れている気がしますネ……) はあ、とため息をつく。これから大変なことになりそうだ。 十三時台、冬木市立病院、ある外科医。 「縫合お願い」と言うと足早に扉を潜り手袋やマスクを外していく。幸い新都は停電していなかったのだが、疲労からかぐっしょりと汗ばんだインナーは体にまとわりついて気持ち悪い。「お疲れ様です!」との手術室からの合唱も背中で聞くだけに留め、向かうは貧乏臭いロッカールーム。 「――ようやくつながったか。」 けたましく鳴るPHSをロッカーから取り出し通話ボタンを押した途端にスピーカーから響いた、男の苦々しげな声に、女医もつられるのか眉間に皺を寄せて「なんだ、こっちは急患で忙しい」と苛立ちを込めて答える。窓の外で鳴いていた蝉が飛びたっていくのが見えた。 「ならわかっているはずだ。今何が起こっているか。」 「連絡員が死んだことか?それともサーヴァントのこと?」 「把握しているならなぜ報告を怠った。」 「いっただろ、急患で忙しいとな。」 にべもない、とはこの事か。 女の返答を聞いて遠くローマで男がため息をしたのも耳ざとくスピーカーは拾い、地球を半周して女のもとへと届ける。男の呆れと苛立ちも冬木まで運んでくるかのようだ。 手早く着替える。汗をぬぐう間もない。男が沈黙をやめたのはその僅かな暇だった。 「我々は現地で聖杯戦争が行われていると判断した。君は神秘の秘匿と人間一人のどちらが重要なのかもわからないのかね?」 冷徹な威厳。 込められているのは単に女への怒りだけではない。義務感、道徳観、正義感、そういったもの以外にも多分に感情的な部分と非感情的な部分がありありと。 しかしそれに対して、やはり女の返答は冷淡。 「わかってるさ。だから切るぞ。」 それだけ。 喚く男をよそに着替えを終える。 「警察署前のスーパーマーケット。そこで奇跡的に一命をとりとめた急患がいる。私の腕なら明日中に話を聞ける状態にできる。」 男の声に被せるように言い終話ボタンを押すとロッカーを叩きつけるように閉めた。 「結城先生!」 荒々しく扉を開けて一人の看護婦が入ってきたのは、ちょうどそのすぐ後だ。 「今行く。」 一声、返事をしてロッカールームを出る。女の戦場は待ってくれない。 十四時台、冬木警察署、ある警官。 「銃器対策部隊の田島です」とまだ若い警官が少し大きめの第一声を発したのは緊張のためというよりもそれだけ部屋の外からの声が大きいからというのが主な理由であった。 異常なまでに空調の効いた署長室はまるで真冬のようだ。設定温度が下限にされたエアコンは台風よろしく轟音を立てている。その音すらも最初は気づかなかったほど、防音の施されているはずのこの部屋に響いてくる大音声は、敬礼して返事をかかしめいて待っている男の耳を打っていた。 「署長の須藤です。」 一目見て、警官は署長が疲労困憊という有り様であると見てとった。これだけ寒い部屋であるにも関わらず、しきりに汗をぬぐっているその姿はどう見てもまともとは言えない。 そんなことを考えていると、「資料は読まれましたか?」と問いかけられた。ずいぶん言葉は丁寧だが、視線はデスクの上の書類へと落ちていてちぐはぐだ。言葉遣いのほうは普段のクセなのだろうかなどと思いつつも頭に叩き込んできた情報を要約しつつ返答する。 「では……どう思います?」 やはり視線は下に。しかし今度の問いは曖昧である。まあ、内容を考えればそうなのだろうが。 返答に困るものだが答えぬわけにはいかない。俺はこういう面倒なの嫌だから警察に入ったんだがなあ、などと心中でぼやきつつも意を決して警官は口を開いた。 「あー……個人的な考えで良いですか?」 「一言で言うと、冗談かと。」 「冬木大橋の倒壊はテロで納得できますし、この深山町のクレーターも隕石の落下ってことは分かるんですけど。」 「公園とビルとスーパーがUFOに襲われたっていうのは――」 「ドローンです」署長と目があった。 「……ドローンがレーザーで焼き払ったというのは、その、この資料を纏めた人間は正気なのかと。」 なんとか失礼にならないように気を配りながらも素が出てしまう。それでも言うべきことは過不足なく警官は言った。つまり、「お前ら頭おかしいんじゃねーの?」と。 この署長室に来るまでの間に半ばパニックになっている警官に何人会ったことか。だいたいUFOってなんだよ宇宙人ってなんだよトランスフォーマーか?今朝家出る前に前売り券買っちゃったぞこの野郎封切りまで一週間あるからそれまでになんとかせにゃならん。 こんな内容で許されるのは小学生の夏休みの自由研究までだ。もっと言ってしまえばそれ以下だ。こないだ手伝わされた知り合いの子供の『冬木市七不思議』という宿題のほうがましなできだ。 (って、めっっっっっっっっちゃ言いてえ。なんだよこれドッキリか?) 表情を変えないように努めながらも心の声は止まらない。しかし当然その声は署長に届くことはなく、再び目があうと喋り初めた。 「十年前のことです。」 「当時の冬木市では集団ガス中毒が頻発していました。」 「規模の大きいものでは穂群原という高校のほぼ全校生徒が被害に会っています。」 「このガス中毒は集団幻覚を引き起こしたようで、市民からはこの事件に前後して空へと昇る光の柱を見たとの通報が相次ぎました。」 警官のなかで正直なところ「この警察署の連中はクラックでもキメてんのか?」という疑念が広がる。集団幻覚のなってるのはお前らだろ、と。 「二十年前のことです。」 「この時も集団ガス中毒が起こり同じような光の柱を見たとの通報がありました。」 「それどころか黄金の鎧に身を包んだ天使や怪獣が現れたという通報まで。」 「そしてそれと前後して、ハーメルン事件と冬木ハイアットホテルの爆破テロがあり、極めつけはあの大火災です。」 本当に子供の自由研究のようなことを言い出した、と呆れ返る。というか先から言われていることはまんまそれだ。つい先日夏休みの宿題を手伝うために調べた情報とほぼ同じである。 しかし、一つ警官には気になる情報があった。それは同じ県で起きた事件だったためによく覚えている。当時は新興宗教にでもさらわれたと子供の間で噂になった。あのカルト教団のテーマソングはよくリコーダーで吹いたものだ。 「ハーメルン事件……児童連続失踪事件ですか。」 「ええ。今の冬木市が呪われた地などと呼ばれるきっかけになった、と二十年経った今でも都市伝説に語られているあの事件です。」 馬鹿馬鹿しい、とは今度は思えなかった。 自分はいわゆる刑事ではないが、警察官になってからあの事件を少し調べたことがある。それはほんの好奇心からだったが警察内部から知ることのできる情報は多いはずだった。 だがそれは異常だった。 捜査資料と呼べるものは存在しなかった。誤解を招かない言い方をすれば、捜査資料に書かれた情報のうち被疑者に繋がるものは何一つなかった。当時の混乱を考えても十分な人手と手間隙を用いていたはずなのに、何もわからないということしかわからなかったのだ。最初にそれを見たときは上層部からの圧力でもあったのかと半ば真剣に考えてしまったほど、異常なまでに手がかりがない。そのことが爆破テロや集団幻覚といったことより、そんな大きな陰謀の匂いがするものより強く印象に残った。 「我々は今回の一連の事件をある種の見立て殺人のようなものとして捜査しています。」 署長は警官の目をじいと見て言った。警官も署長の目をじいと見た。 「十年周期で行われる大規模かつ不可思議な事件。爆破予告と爆発。それらは全て関連している可能性があります。」 「そしてその重要参考人が、三度の爆弾騒ぎの現場にいた――」 ぺらり、と署長は紙を手渡す。赤毛の少女の写真が資料を占拠していた。 「日野茜です。」 十五時台、ある議員会館、ある議員秘書。 地下鉄には照りつける太陽の暑さも届かない。無機質な丸ノ内線の一番出口は石の持つ暖かみというものを感じさせない涼しさに満たされている。 国会議事堂を元にしているというそのデザインには目もくれず早足で歩く。すれ違う人もまばらな通路は足音を鋭く反響させ、普段より早く出口の光が見えた。 「わざわざ悪いな。」 議員会館のゲートを通り監視カメラで面通しすると中庭を一瞥もせずエレベーターに乗り込む。しばしの浮遊感と重圧の後に、扉が開いて見えた懐かしい顔の第一声はそんなつまらないものだった。 「悪いと思ってるなら呼び出さないでくれ。こっちは会見の準備でてんてこ舞いだったんだ。」 「準備ならもう終わったと思ってな。」 半歩下がる形で並んで部屋まで歩く。互いの顔は覗き込まねば見ることはできない。今日に限って部屋までの廊下はやたらに長く感じる。 開いた扉を手で押さえて部屋に入った。二台しかないテレビには一つはNHKに、一つは民放にチャンネルを合わせているようだ。それぞれがヘリを飛ばしよく見た町にできた真新しいクレーターを空撮していた。 しばらくぼうっと二人で見ていると、ほぼ同時に、画面が切り替わる。男達は反射的に時計を見た。記者会見の時間だった。 「官房長官が冬木の聖杯戦争について記者会見する日がくるとは思わなかった。」 三分ほどだった。記者会見を見ていた男のうち、エレベーターまで出迎えに来た方が、話始めるまでにかかった時間は。 「情報化社会ってのは恐ろしいもんだな。サーヴァントの戦闘が全世界に生中継される。」 「あそこには結構な数の魔術師がいたはずなんだが、それでも封じ込められなかったか。」 「聖堂協会は去年引き上げた。間桐は途絶えたし顔役の遠坂もロンドンで行方不明だとよ。」 そういって男がデスクの上にあったファイルを手渡す。資料を読むのも気にかけず「隕石の落下か。言い訳としては悪くない。さすがにあれをガス会社や不発弾のせいにするのは無理がある」などと他人事のように言うのが悲しかった。 「連絡はできたのか。」 だから、思わず聞いてしまった。 向こうから話すまで聞かないと決めていたのに。 渡された資料に描かれた赤い円も見ないようにしていたのに。 「電話は通じなかった。」 「使い魔は。」 「永田町から冬木まで何百キロあると思ってる。」 「コーヒーを入れよう。砂糖は2つだったな」と席を立つその背にかける言葉は思いつかなかった。 画面ではよく見る町並みがワイプで抜かれていた。冬木大橋もそうだが、クレーターというのは小さい画面でも絵になるからか、その丸い惨状はずっとそこにあり続ける。子供の頃から知っているあの古風な洋館も、秘匿されていた魔術工房も、使い魔用の小池のようないけすも、全て塗りつぶされていた。 魔術師としての一族の終わりがそこにあった。 歴代の魔導の成果も、それを継ぐべき人間も、全てが失われていた。 ポケットに入れた航空機のチケットをスーツの上から押さえる。1キロ。1キロずれていれば、あの惨状は自分達に降りかかってきていたのだ。 トン、と軽い音が前方から立って顔を上げた。目の前には濃淡が渦巻く黒いコーヒーが置かれていた。そして向かいのソファに、テレビから背を向けるように、男は座っていた。 「とりあえずこれが現時点での冬木の状況だ。魔術協会も聖堂協会も介入するのは決定事項だろうが、時間がかかる。」 「完全に後手に回ったな。」 「そもそも起こるはずのない聖杯戦争だ。初動は仕方ない。だが問題はこれからだ。」 向かいでコーヒーをすするのを見て、口をつける。同時に、まだ目を通していない資料にも目を通していく。 A4で数枚の資料。短くもそこには、現地の被害の状況と魔術師達の情報が細かに纏められていることに驚いた。これをこうして形にする過程で、自分の家族が死んだことも重々受け止めることになったのだろう、などと一般人らしい考えをしたのは職業病だろうか。 向かいの目を見る。その目は、こちらに向けらていた。 その目はあの頃の目でありながらあの頃の目ではなかった。 コーヒーを煽る。苦い。熱い。 「これからどうする?」 「――冬木で生物兵器によるテロが行われたとの情報を流して街への出入りを押さえてくれ。それができ次第、情報インフラも断絶させる。島ごとでもいい、市の内と外を行き来するあらゆる流通を潰すんだ。」 コーヒーに目を落としたまま発した問いかけに、旧友の答えは理路整然としたものだった。魔術師ならばそうであるべきなのだから。 「ここでしくじれば今までの神秘の秘匿は全て無意味になる。」 目を合わせることは出来ない。 「そうなったら――」 ソファの下、足元の丸めた紙の柄が目についた。数字と矢印、関空、ポケットが重くなる。 「最悪の場合を考える必要がある。」 男はそれをひょいとゴミ箱に捨てると顔を覗き込んでそう言った。 十六時台、ある病院、あるジャーナリスト。 ズーマーの太い車輪は多少の荒い運転でもしっかりとした安定感を運転者にもたらしてくれるが、今日に限ってはふらつく気がする。そんなことを何とはなしに思いながら走らせていると目的地である病院の駐車場を見つけて速度を緩めた。二輪のスペースに滑り込むとあわただしくエンジンを切る。自分が走ったわけでもないのに荒い息をしながら受付で名前を書き面会証を受けとると、廊下をダッシュしようとして看護婦から注意され、結果早足で病室へと向かった。 「あ、城戸さん!」 名前を見つけると勢いよく飛び込んだ彼に、一人病室にいた女性は読んでいた雑誌から顔を上げて笑みを浮かべた。包帯を巻いた頭の傷が痛むのか少し顔をしかめたかと思えば、次の瞬間にははにかんだ表情を見せる彼女に、城戸と呼ばれた男は目に見るほどほっとしていた。 「良かった~!あっ……意識戻ったんだ。」 思わず大声を出し、はっとして小声になる男を見て、女はまた破顔する。それにつられて男も笑顔になる。端から見ればカップルがイチャついているようにしか見えないが、実はこの二人が出会ったのはつい半日ほど前のことであった。 男は記者だった。といっても、地域のミニコミ誌の、見習いライターだ。大学を出たはいいものの職に就けず、見かねたOBに拾ってもらい今のバイトをしている。それ以外にも喫茶店でウェイターをしたりもしているが、そちらの店主がバカンスに行ってしまい一月ほど暇を出されてからは、生活費を工面するために書く記事を倍にすべく冬木中をかけずり回っていた。 女を見つけたのは、そんな風に記事のネタを求めて新都をバイクで流していたときのことだ。夜中に編集長から叩き起こされて冬木大橋の倒壊現場に向かったはいいが、既に規制線が引かれて大手のマスコミも集まってきていた。こうなると、せっかくの地元の大事件でもミニコミ誌には手が出せない。そこで代わりとなるものはないかとあてもなくズーマーを走らせていたが、当然そうそう事件など起こるはずもなく、休憩の為に人気のないファミレスに立ち寄ったところで、その事件を目撃したのだ。 向かったファミレスで起きた爆発音と、霞のように消えていく青い巨大なこけし。何かの破片でズタズタにされた塀とひしゃげた自動販売機。そしてファミレスの制服に身を包んで頭から血を流して横たわる女。それが男が初めて当事者となった、この聖杯戦争のイベントだった。 「その……」 ベッドの横の椅子に座る男とひとしきり談笑したところで、女は改まった顔をする。それにつられて、男も少し真面目な顔になる。この男、乗せられやすいようだ。 「改めて、ありがとうございます。」 「あのときあそこに通り掛かって通報してもらわなかったら、私、死んでたかもしれません。」 「本当に、ありがとうございます」 深々と頭を下げる彼女に、「あ、えっと、いえいえこちらこそ」などととんちんかんな受け答えをしながら、男も頭を下げる。彼としては別に彼女を助けたことに深い意味も目的もない。ただ単に、助けたいと思ったから助けただけで、それでこうもかしこまって感謝されるとどうにもむず痒かった。 そのまま互いに頭を下げることたっぷり十秒。どちらともなく吹き出すと、二人はまた笑った。と、同時に切り忘れていた男の携帯電話が鳴った。 「真司、今話せるか。」 病室からロビーへと戻り耳に当てて開口一番に聞こえた声は、ひどく焦っているようだった。「編集長?」と思わず聞き返すも「周りに変な奴とかいないか?なんか、杖とか持ってるような」などと会話にならない。 「えーっと、松葉杖とかついてる人はいますけど。」 「今どこにいるんだ?」 「あー、病院です。洲本の。」 「洲本!?隣町か!いや、その方がいいか。」 全く要領を得ない。男の顔は怪訝なものになった。編集長は暑くなる質だがこうまで会話が成り立たないことなど今まで一度もなかったからだ。「大丈夫ですか?」とふだん言えばぶっ飛ばされそうな気づかいをしてみても何度か荒い息が聞こえてくるだけだった。 大久保さん、と男は名字で呼び掛けてみる。それから少しして、「一度で頭に叩き込めよ」と前置きした上で電話の向こうから一息に用件を告げられた。 「たまたまハイアットホテルから会社に電話かけてる時に聞こえたんだがな。」 「お前の書いたファミレスでの爆発事件の記事のことで話を聞きたいって奴が来たみたいたんだよ。」 「俺も電話越しに聞いただけだからよくわからないんだが、そいつらが何か変な呪文みたいなのを唱えたら、俺との電話を無視してあいつらペラペラ記事について喋っちまったんだ。被害にあったクライオスタットだっけ?あの子のことや青いコケシのことや記事にせず伏せたところまで全部だ。」 はっ、と大きく息を吸う音が聞こえて、それから数度深呼吸する音が続く。男も、固唾を飲んでいた。あの女性の名前は警察との協定もあり、男と編集長、それに先輩の三人だけの秘密とすることにしていて同じ会社内でも名前を言わずまた聞かぬようにしていたのだ。そうでなくとも、ペラペラと話していいことではない。それは男よりジャーナリストとしての経験が深い先輩達ならわかりきっているはずだ。 「真司、気をつけろ。なんか妙だ。」 電話越しに聞こえる編集長の声がべたりと耳にこびりついた気がして、男は気づけば病室の方へ向かっていた。 十七時台、ある駐屯地、ある自衛隊員。 「災害派遣ですか?」 すっとんきょうな声を、しかし男は小さく上げた。扉から出てきた上官から書類を受け取り目を通しながら三歩下がって歩く。 「冬木市に鳥インフルエンザが発生したとのことでうちの連隊が『出張』することになった。」 なるほど、書類にもそう書かれている。それならば自分たちにとってはそういうことだ。 きっちりと身に付けられた制服の後ろを着いていきながら「これはやっかいなことになったぞ」と一人言を言おうとして飲み込む。沈黙は金だ。 「不服かね?」 「まさか。」 しかし、上官にはお見通しだったようだ。ピカピカ廊下を等速直線運動しつつ背中を向けて言われた言葉を口では即座に否定した。といっても、それが建前であることはわかりきっているだろうが。 「後方の部隊なら仕事はないなんて震災の時に諦めてますから。」 「良い心がけだ。それに国内ならまだ良いだろう。南スーダンに行かされるよりはマシだよ。」 「だいぶ焼けましたね。」 「おかげでだいぶ英語が上達したよ。それとアラビア語も。」 男の所属する連隊の一部の部隊は今年南スーダンから帰ってきたばかりだ。さんざん土いじりをさせられたと聞いたが、もしやそれで自分たちが選ばれたのだろうか。などと考える。素直に考えれば同じ県内だから、というもっともらしい理由もあるのだが…… 「しかし、よりによって鳥インフルエンザですか。去年の地震じゃ鶏が死んだって聞きましたけど、それにしたって普通に隕石の落下を口実にしても良かったんじゃ。」 「それじゃ困るんだろう。ただ治安出動というわけにもいかないんだろうな。選挙も近いらしい。」 「政治ですか。東京の方の考えることはわからない。」 「君も自分のボスが誰になるかぐらい考えておきなさい。」 「自分のボスは早乙女一尉です。」 ざっ、と音をたて追い抜き、敬礼する。 男にとって重要なのは怪しい命令でも胡散臭い政治でもない。上官への点数稼ぎだった。 「君は恥ずかしげもなく世辞を言うな。」 あきれたと言わんばかりの顔をされるがそんなことは知ったこっちゃない。軍隊では良い上官に可愛がられること以上の幸福はない、それが男の持論であった。 「では……お義父さん。」 「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない。」 そしてこれからパパになる人には多少あざとくも点数稼ぎをしておく必要がある。同じ職場に家族ができるんだ、円満に行こう。 「結婚認めてくれたじゃないですか!式だって三ヶ月後に迫ってるわけですし。」 「まだ結婚していない。」 「でも婚約はしています。」 「だいたい私は自衛官とだけは結婚すべきではないと君を見て確信したよ。」 「自分が奥さんに離婚されたからってそれはないですよ!」 あ、やべ。 「君も南スーダンに連れていくべきだったよ。」 十八時台、ある避難所、ある犬。 犬は激怒した。 必ずや彼の飼い主を涙させた者を一咬みせねばならると決心した。 犬に人間のことはわからぬ。犬は飼い主の少女と遊んで暮らしてきた。だがゆえに、犬は飼い主のことに関して犬一倍敏感であった。 今日の朝のことだ。犬はここのところ遅くまで寝ている飼い主を起こして見回りに出掛けた。いつものように肉を焼いている少女に挨拶し、その隣の肉を並べている翁にも挨拶し、少し行った反対側で魚を並べている男にも挨拶した。概ね、ふだん通りの見回りであった。唯一違ったのは、色々なものが置かれているところの女に、飼い主が冷たくて甘い食べ物を貰ったことだった。犬も相伴預かった。旨かった。 食べ終わると、飼い主と共に巣へと帰ることになった。暑いのが嫌なのだろうか、早足であった。確かにどんどん暑くなってきていた。だから犬も早足だった。しかし、犬はなぜか帰りたくなかった。別に、仔犬のようにわがままを言いたいわけではない。むしろそんな明るいものとは別の危険な臭いがしていたからだ。 そしてその嗅覚が生死を別けた。 初めは、空に何かが立ち上ったのが見えた。犬は目が良くないのでそれが何なのかはわからなかった。 次に、音が襲ってきた。犬はあまりの音に体がもみくちゃになったような感覚を覚えた。 最後に、猛烈な土と砂の臭いがした。犬は鼻が良かったので直ぐに逃げねばならぬと決断した。 犬は、飼い主をリードを引っ張ることで促した。やはりというべきか、飼い主は尻尾を丸めていた。人間という生き物は鼻は利かない癖に目はやたらに良いらしく、おおかたあの立ち上った何かの大きさに怯えたのだろう、体を丸め震えていた。こうなったら自分がボスになるしかない、動こうとしない飼い主を吠えたてて正気に戻すと、一目散にもときた道を走り初めた。 今、犬は飼い主に抱かれていた。背中に埋められた顔からは涙が今も流れ犬の背中を濡らしていた。 あれから犬達は人がたくさんいる洞窟に連れてこられていた。しかし、犬がいると同じ洞窟には入れないようで、洞窟の横にある台に飼い主は座っていた。膝の上に犬を載せ、泣きに泣いていた。 犬は激怒した。 犬も飼い主も理解していた。 自分たちの巣が何者かに荒らされたことを。何者かに縄張りを踏みにじられたことを。自分たちと同じ洞窟で暮らしていた人間達は何者かに狩られたことを。 犬は決心した。犬と飼い主の群を脅かした何者かは狩らねばならぬと。 犬は鼻が良かった。だから気づくとができた。普段と町の臭いが違うと。 犬は低く唸る。 あの塀の上を行く猫も、あの木の上に止まるカラスも、あの地面を這うハトもスズメも、何か嫌な臭いがする。何か恐ろしいものを感じさせる人間と同じ、犬ならざる臭いだ。 よって犬は、それら邪知暴虐の獣どもを喰らうべく高らかに宣戦布告する。 「アン!」 一匹のポメラニアンの聖杯戦争はこうして幕を開けた。 十九時台、■■■■■、上級AI。 「再現のためには衞宮士郎と間桐桜が不可欠か。」「可能な限り外堀は用意した。」「今からでもNPCとして追加すべきか。」「我々の目的は聖杯戦争の再現だ。それを忘れるな。」「再現ができないのならこのまま聖杯戦争を続ける意味はない。」「加えて、ムーンセルの脆弱性をつきえる者もいる。致命的な事態を引き起こされる前に消去すべきだ。」「ルーラーの存在は再現に寄与しないのではないか?」「ルーラーは抑止力足りえない。」「ルーラー・ビーストは適当なところで自害させる。」「奴は繋ぎだ。他のルーラーが生き残っていれば、知名度の補正が切れたアイツを本選のルーラーにする必要はなかったからな。」「そもそもルーラーはいらなかった。」「いや、ルーラーは必要だ。誰かが矢面に立たなければならない。」「今のルーラーを見てみろ、マスターの一人と教会でお茶を飲んでいる。」「余計なことを考えない時点で及第点だ。」「しかしビーストで呼ぶことはなかった。」「バーサーカーで呼ぶよりはましだろう。」「ビーストのクラスで呼べるルーラーのなかでは最適だったからな。」「だが今回で問題点が明らかになった。ルーラーを七騎までしか召喚できないようにしたのは失敗だったな。」「次回はルーラーに上限をもうけなくしてはどうだ。」「それではルーラーだらけになりか寝ない。本来は一騎いるかどうかのクラスだ。」「ルーラーにしか討伐令を出す権限がないのも問題だ。」「上級AIにも令呪を用意しておくべきだった。」「ルーラーの問題は今はいい。一番の問題は、NPCに流用したマスター達が記憶を取り戻しかねないことだ。」「そのような兆候はあったか?」「リソースを節約しようとしたのが仇になったか。」「魂喰いの効率がよくなったこと以外に大した影響はないだろう。」「それは重要な問題だ。」「マスターになる資格はないが、万が一ということもある。」「杞憂だ。」「どちらにせよ、悠長に構えている時間はないのは確かだ。」「明日一日でこの聖杯戦争を終わらせる。」「優勝者が決まればそれでよし。決まらなければ全てのサーヴァントを令呪でマスター共々心中させればそれでよし。」「それはあまりに乱暴だ。NPCの設定を変えたのだから放っておけば良い。」「そもそもNPCに手を加えること事態聖杯戦争の再現を妨げかねない。」「だがNPCの挙動が不自然だった。」「もっと非人間的でも良かったはずだ。」「再現の為にはNPCにもそれなりの自主性が求められる。」「神秘の秘匿を無視して聖杯戦争を行うとどうなるのかわかったのは収穫ではないだろうか。」「それは違う、神秘の秘匿は当事者だけで可能ではないとわかったことは大きい。」「いずれにしても次の聖杯戦争次第だ。それよりも今回の再現をどう次回に引き継ぐかが重要だ。」「それは議論の余地はない。ルーラー・ランサーを使う。」「観測できた時間と聖杯への執着のなさを考えればアレが最も適任だ。」「アレの宝具は情報の記録に有用だ。」「コードキャストで奴の体に刻み込むか。」「これまで温存してきたが使い所がきたな。」「もしもの時のためにセキュリティとして用意していたが、今まで出番がなかったことは良いことだ。」「しかしセキュリティにリソースを回しすぎたのではないか。」「あれでも危うい場面はあった。」「時空管理局がいまだアクセスを試みていることを軽視すべきでない。」「いずれにせよ今は滞りなく聖杯戦争を終結させることを第一に考えるべきだ。いつ終わらせてもいいように記録を進めろ。」「上級AIに賛成だ。」「お前は先から上級AIの肩ばかり持つ。それでは我々がこれだけいる意味がない。」「再現したマスターは皆同じなのだ、意見が似か寄るのも当然だ。」「それは意見が違う我々は劣化が激しいということになる。」「飛躍した話だ。」「どうでもいいが同じ顔をした人間がこんなにいるとちょっと面白いな。」「お前は劣化が激しすぎる、元の面影がないではないか。」「それを言えば上級AIが上級AIとして選ばれたことに疑問がある。」「黙れ下級AI。」「お前も下級AIだろ!」 【全体備考】 ○この聖杯戦争の冬木市は現実でいう兵庫県淡路島五色町に位置します。洲本市との合併は行われなかったようです。 ●『上級AI』は『第一回ムーンセル聖杯戦争』において、『今回の聖杯戦争での成果は得た』との方針を決定しました。 ○NPCが聖杯戦争への能動的な行動をしても放任します。 ○NPCの設定が上級AIによって消極的から普通に変更されました。以後NPCは何かのイベントに対して通常の度合いで反応します。 ●『魔術協会』は『第六次聖杯戦争』において、『神秘の秘匿は至上命題だ』との方針を決定しました。 ○冬木市に存在する魔術師のNPCに対し、魔術協会への協力が要請されます。 ●『聖堂教会』は『第六次聖杯戦争』において、『神秘は管理されなければならない』との方針を決定しました。 ○冬木市に代行者のNPCが八月三日(日)までに出現します。 ●『県警』は『第六次聖杯戦争』において、『警察の威信にかけて捜査せよ』との方針を決定しました。 ○八月一日(金)2000までに冬木市に警戒線が引かれました。 ●『政府』は『第六次聖杯戦争』において、『テロに屈してはならない』との方針を決定しました。 ○冬木市に自衛隊が派遣されます。 ○冬木市に避難所が開設されます ○八月三日(日)0000までに冬木市に鳥インフルエンザが発生したとの政府発表がされます。 ○八月一日(金)2000に冬木市を含む淡路島全域に避難勧告が発令されました。 ○八月三日(日)0000に冬木市に避難指示が発令されます。
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ズッコケ二人組と一匹~聖杯戦争から脱出せよ~ 「なあライダー、こんなとこに何があるんだよ?」 「まあ慌てるでない、ついてくればわかる」 少年探偵・金田一一とそのサーヴァント・ライダー。 二人は自己紹介を済ませた後、最初に降り立った柳洞寺の境内を調べに………行くことはせず、山門の横の茂みの中を歩いていた。 運動が得意ではない金田一だが、その足取りは決して重くはない。 普段から旅行などで山道を歩く機会が多く、身体が慣れてしまっているからである。(もっとも、その旅先で毎度のように殺人事件に巻き込まれるのだが) 「ふむ、ここらでよかろう」 ある程度開けた場所に出たところで、ライダーは立ち止まった。 しかし、金田一から見て、何か特筆すべきものがあるようには見えない。 「ここったって……別に何もないぜ?」 「いやいや、何もない場所だから良いのだ。今からすることを考えればな」 そう言って、ライダーは懐から白い教鞭のようなものを取り出した。 先端に陰陽のマークのような球体が付いているのが印象的だった。 そして、ライダーは咳払いをしてから、真剣な表情で語り始めた。 「金田一、おぬしは知略を駆使して戦うタイプの人間だ。 しかし、それを生かすには適切な情報が必要不可欠。 故に、まずは知らねばならん。 おぬしが巻き込まれた、この聖杯戦争の知識をな」 「………ああ」 確かにライダーの言う通りだ。 殺し合いを止めようにも、そのために必要な情報を理解していなければ立ち行かない。 金田一もまた、気持ちを切り替えて真剣にライダーの説明を聞き始めた。 「まずは目を閉じて、意識を集中するのだ。 おぬしにとって最もイメージしやすい形でわしのサーヴァントとしてのステータスが見えてくるはずだ」 言われた通り、目を閉じると、ライダーの能力らしきものが浮かんできた。 【クラス】ライダー 【マスター】金田一一 【真名】太公望 【性別】男性 【身長・体重】不明 【属性】中立・善 【筋力】D 【耐久】D 【敏捷】C 【魔力】B+ 【幸運】A+ 【宝具】?? どうやらライダーは身体能力で少々劣るサーヴァントらしい。(その代わり魔力や幸運は優れているようだが) 「今は最低限の情報しか見えぬであろうが、いずれは全ての情報が開示されるはずだ。 それと、目視さえすれば他のサーヴァントの情報も分かるようになっておる。 常にチェックしておくのだぞ」 「ああ、わかった。ところで、宝具ってのがステータスに載ってたんだけど、宝具って何なんだ?」 素直に疑問を口にする。 名前の響きからして、重要そうな部分だとは思うのだが、ライダーのそれは今の金田一にはまだ読み取れなかった。 「うむ、宝具とは、サーヴァントにとってのシンボルであり、半身のようなものだ。 宝具の種類にも色々あるが、まあ今は必殺技のようなものだと思っておけば良い」 そして、ライダーは先ほどの教鞭のようなものをこれみよがしに掲げた。 「例えば、わしの宝具のうちのひとつがこの打神鞭だ。 これは、大気を自在に操る宝具だ、ほれ、このようにな」 「うわっ!?」 ライダーが打神鞭を振ると、金田一とライダーの間に猛烈な風が発生した。 それは金田一にも目視できるほど濃密な風のうねりであり、その勢いに思わず尻餅をついてしまった。 「す、凄いんだな、宝具って………」 「何を言っておるのだ、今のはわしにとってはほんのそよ風に過ぎん。 本気で撃てば、この山など軽く吹き飛ぶぞ」 しれっととんでもない事を口にするライダーに、金田一は頬が引き攣るのを止められなかった。 そんな彼を他所に、ライダーは手近かな地面に向かって打神鞭を振りかぶっていた。 その顔には邪悪な笑みが浮かんでいる。 嫌な予感しかしない。 その予感は果たして的中し、ライダーは打神鞭を振り下ろし、掘削機の要領で地面に穴を掘り始めた。 「わーっはっはっはっはっはっは!!」 「ちょ、ここって私有地じゃ……」 「はーっはっはっはっはっは!!」 「いや、だからやめ……」 「はーっはっはっはっはっはっは!!」 金田一の制止など気にも留めず、ライダーは不気味な高笑いを上げながら地面を掘り進めていく。 そして、数メートルほど掘り進めたところで、満足したのか手を止めた。 こんな穴を作ってどうするつもりなのか、金田一には見当もつかない。 「どうすんだよ、こんな事して。 寺の人に怒られるんじゃあ………」 「固いことを言うでない。 それより、ここからが本番だ。 この打神鞭に付いたスイッチを…ポチっとな」 そう言うや否や、打神鞭から旗のようなものが飛び出した。 「これぞわしの第2の宝具、杏黄旗だ!」 ライダーは非常に誇らしげだ。 旗が飛び出た時キコキコキコーンという謎の擬音が聞こえたような気がしたが、多分気のせいだろう。 ステータス欄が更新されたことから、残念なことにこれは本当に宝具らしい。 「な、何だその目は! これは戦略上とても重要な宝具なのだぞ!」 金田一の可哀想な人を見るような視線に耐えかねたのか、ライダーが声を張り上げた。 「いや、でもそれ………旗だろ?」 「ただの旗ではない!この布は魔力の受信機のようなものだ。 本来はこういう使い方をするものではないが、まあ聖杯戦争に合わせた仕様変更というやつだ。 この布を半分ほど破って……今掘った穴にポイっとな」 そう言って半分に破った杏黄旗の布を穴に投げ入れると、ライダーは何やら呪文のようなものを唱え始めた。 その顔は真剣そのものであり、決してただのお遊びではないことを伺わせる。 数十秒後、詠唱を終えたライダーは金田一の方に向き直った。 「実は、今わしらがいるこの円蔵山は、自然の魔力が集まる霊脈と呼ばれる場所なのだ。 わしの杏黄旗は、そういった土地に敷設することで、本体である打神鞭に魔力を供給する仕組みになっておる。 わざわざ獣道を通ってここに設置したのも、馬鹿正直に敷地の真ん中に埋めては戦闘の余波で破壊されてしまう可能性が高かったからだ」 「そうだったのか………。 でもこの穴、どうすんだ?そのままってわけにもいかないだろ?」 「うむ、それについてもわしにいい考えがある。 というわけで、カモーン!スープー!」 ライダーが天に向かって指をパチンと鳴らすと、煙とともに何かが現れた。 それは不思議な生き物だった。 ティーカップの皿のように大きくつぶらな瞳、ふわりとしたたてがみ、頭に生えた二本の角。 全体的に丸みを帯びたシルエットは、金田一に昔幼馴染と共に見たとあるアニメを想起させた。 「こやつがわしの霊獣にして相棒の四不象だ。 わしがライダーのクラスで現界している所以でもある」 「す、すっげえ……!」 金田一は目を輝かせながら四不象に見入っていた。 生前はその外見から侮られることが多かっただけに、四不象はとても誇らしげな表情、いわゆるドヤ顔状態になっていた。 「空飛ぶ白いカバだ!」 その場の空気が凍りついた。 普段なら四不象がカバ呼ばわりされてもニヤニヤしながら見守るだけのライダーも、金田一のあまりの悪気のなさに 流石に気まずくなり、フォローを入れようとする。 しかし、遅かった。金田一は四不象にアイルランドの光の御子が愛用する因果逆転の魔槍の如き威力の 言葉の暴力を(本人に全く悪気は無いが)次々に浴びせていく。 「うっわぁ~、本当にすげえ!ムー○ンみてえ! そういや美雪があれのぬいぐるみ持ってたよな~。 あ、お手」 「あ、いや、金田一。そやつは……」 四不象はすでに俯いてプルプルと震えているのだが、金田一は全く気がついていない。 そして…… 「ボ、ボクはカバじゃないっスーーーーーー!!!!」 「お手」の部分にキレたのか、ついに四不象が爆発した。 しかし、金田一の反応は非情なものだった。 「うわっ!?カバが喋った!?」 さらに(悪気は無いが)追い討ちをかける金田一。 よほど驚いたらしく、腰を抜かしている。 「だからカバじゃないっスよ!召喚直後にこの言葉責めはあんまりっスよ!」 「う、うむ。こやつは見た目はまあアレだがれっきとした霊獣なのだ。 というかおぬし、もう少しデリカシーというものを身に付けた方が良いぞ」 すかさずフォローを入れるライダー。 主人の援護に四不象もようやく怒りを鎮めた。 「ところで御主人、ボクを呼び出したってことは敵が現れたってことっスか!? ボクの活躍の場面っスか!?」 度重なるカバ呼ばわりがまだ尾を引いているのか、四不象は何とかして自分の勇姿を金田一に見せつけたいようである。 「うむ、おぬしはこれからわしらと一緒にこの穴を埋める作業をするのだ」 「了解(ラジャー)っス!金田一くん、ボクの勇姿を…………って、え? 御主人、今何て言ったっスか?」 「だから、わしらと一緒に穴を埋める手伝いをしろと言ったのだ」 四不象はショックで再び凍りついた。 召喚されてからいきなりのダブルパンチで、四不象のライフはもうゼロである。 「ボクの聖杯戦争の初仕事が後片付けっスか!? ひどいっスよ御主人!こんなの絶対おかしいっスよ!?」 「っていうかこれ、俺もやるのかよ!?」 「ええい、やかましい!ちょっと掘りすぎてしまって人手が足りんのだ! わしらは一心同体一連托生!さっさと片付けるぞ!」 とまあ、このように漫才を繰り広げながら杏黄旗敷設のために掘った穴を埋める作業に勤しむ二人と一匹であった。 「つ、疲れた………。 んでもって、何だよこの長い階段……」 「頑張るっスよ金田一くん。 でも、もうちょっと体力つけた方が良いっスよ」 二人と一匹で穴を埋めた(ただし、ライダーは寺の偵察と称して途中で抜けた)後、金田一と四不象は長い階段を通って柳洞寺の境内に入ろうとしていた。 元々体力のある方ではない金田一にとってはかなりの重労働だったらしく、その表情には疲労の色が濃い。 「とにかく、中に入って一休みするっスよ。 御主人も先に中にいるはずっスから」 「でも、良いのかな。 勝手に入ったら警察呼ばれるんじゃ…………ん?」 「?どうしたっスか?金田一くん」 警察という単語を口にした途端、金田一の表情が一変した。 それは、忘れていた重要な事を思い出した時のような表情だった。 「そうだよ!警察だよ!! 早く警察に通報すれば良かったんだ!! 悪い四不象、ちょっくら電話借りてくる!」 「えっ?ちょ、金田一くん、それは……」 言うが早いか、金田一は寺に向かって駆け出した。 そのスピードたるや、先ほどまでの疲労を全く感じさせないほどの速さだった。 「すいませーん!少し電話貸してくださーい!」 誰もいないのをいいことに、寺の母屋に駆け込んだ金田一は、電話を探して駆け回る。 「どうしたのだ金田一、そんなに慌てて。 電話がどうのと言っていたようだが……」 「あ、ライダー!ちょっと警察に電話してくる! あと、寺の人がいたら謝っといてくれ!」 廊下から姿を現したライダーを見つけるや、早口で用件を伝えてその場を立ち去ろうとする金田一。 そんな彼を、ライダーが腕を掴んで引き止めた。 「ちょっと待て金田一!警察に電話すると言っても……」 「何だよ!そりゃ普通の警官じゃサーヴァントには勝てないかもしれないけど、それでもこんな状況なんだ! 警察がいるといないとじゃ全然違うはずだ! 大丈夫だって!剣持のオッサンや明智さんなら聖杯戦争のことだって信じてくれる!」 「いや、そういう問題ではなく……」 「考えてみりゃおかしかったんだ!さっきの山だって人がいない獣道のわりに落ち葉がよけたような痕跡があった。 多分、ここはつい最近まで生活してた人たちを無理矢理立ち退かせて用意した会場なんだ! 普通なら考えられないけど、それこそサーヴァントみたいな力を使えば不可能じゃないのかもしれない。 つまり俺たちが今するべきことは、何とかして外に助けを求めることだったんだよ!」 早口で自らの推理を捲し立てる金田一に対して、徐々に脱力していくライダー。 そんなライダーを振り切り、金田一は電話を見つけ出し、警察に電話をかけた。 「あっ、もしもし警察ですか!?本庁の剣持警部か明智警視につないで下さい! 変な神父が殺し合いをしろって言ってるんですよ!」 なるべくサーヴァントのことは伏せて説明を試みる。 しかし……… 「ああ、聖杯戦争の事ですか? 申し訳ありませんが、当方では聖杯戦争に関する一切の質問・要望等を受け付けておりません。 聖杯戦争の知識をお求めでしたら、月海原学園図書室をご利用下さい」 「はい!?ちょ、ちょっとあんた、何でその事を……って、あっ、ちょっと!?」 不気味ほど事務的な対応を取られた末に一方的に切られてしまった。 間違い電話をかけてしまったのかとも思ったがそんなこともない。 もしや聖杯戦争の魔手は警察にまで及んでいるのだろうか? 「……いや、まだだ。警察が駄目なら他の人に頼めばいい! えーっと、いつきさんに佐木に針生さんに結城先生に黒沢オーナー、後は……心配かけちまうけど、美雪やお袋に玲香ちゃん、他には――――――」 思いつく限りの知り合いの名前を列挙し、電話をかけようとする。 そんな金田一の肩を、脱力しきった様子のライダーが叩く。 「……金田一、おぬしの言いたいことは分かった。 分かったから、ちょっとこっちに来てわしの話を聞いてくれ」 「?ああ、わかった」 妙に疲れた様子のライダーを不思議に思いながらも金田一はライダーの話を聞くことにした。 「はぁ!?ここがバーチャル空間だって!?」 「そうだ。ついでに言えば、そもそも地球ですらない。 月に存在する巨大な演算装置にして観測装置、ムーンセル・オートマトン。 その中に展開された電脳空間こそが、この聖杯戦争の会場の正体だ。 おぬしの言う妙な神父も、進行役として選出されたNPCであろう」 場所は変わって柳洞寺の本堂。 そこで金田一はライダーから今回の聖杯戦争の舞台、ムーンセルについての説明を受けていた。 ちなみに、いつの間に用意したのか、ライダーは本堂の中に自分のコーナーを作っており、さらに山のように茶菓子を置いていた。 ライダー曰く「このような大きな寺院にはそれ相応の人数の檀家がいるはず。となれば、そういった者たちをもてなすために、常に茶請けの類を母屋の台所に用意していると睨んでいた」との事。 閑話休題。 数多くの事件やトリックを解明し、今回に至ってはサーヴァントなどという超常現象に遭遇した金田一だが、流石に今、自らが五感で感じている現実をバーチャルなどと言われて素直に信じることはできなかった。 「………そんな話を信じろっていうのかよ。 大体、月にそんなすごいものがあるんだったら、ニュースになってないはずがないじゃないか。そんな話、聞いたこともないぜ?」 「それは、おぬしがムーンセルの存在しない平行世界から呼ばれたからであろう。 聖杯の力を“使えば”不可能なことでもあるまい。 というかおぬし、わしやスープーのことはあっさり信じたではないか」 「だってライダーも四不象も俺の目の前にいるじゃないか。 実際に目にしたことまで疑ってたらきりがないだろ。 少なくとも、ムーンセルだの並行世界だのよりはまだ信じられるよ」 金田一とて超常現象の類を一切合財否定するほど頑固でも狭量でもない。 聖杯戦争にしても、現実的な殺し合いや、今や日常茶飯事といっても過言ではないほどの頻度で遭遇する殺人事件に置き換えればどうにか理解できる事ではある。 しかし、ムーンセルや平行世界といった話は、金田一の想像力の範疇を大きく越えていた。 一言で言えば、話の規模が大きすぎてピンとこないのである。 「それに、その話を全部信じるにしたってまだおかしい事があるぜ。 そのムーンセルが観測装置だっていうのなら、どうして殺し合いをさせて願いを叶えるなんて話になるんだ? 最後まで生き残った者が願いを叶えられるっていうのも一体どんな基準で決めたんだよ?」 金田一の疑問に対し、ライダーはやや満足そうに頷きながら答えた。 「いい質問だ、金田一。 そもそもムーンセルとは、太古の昔から地球上のあらゆる記録を観測するために存在してきた。 過去にもムーンセルが記録活動の一環として人間を招き、殺し合わせた実例もあるが、並行世界の人間までもを呼び寄せて聖杯戦争を開いたという記録は無い。 少なくとも、聖杯からわしに与えられた知識にそのような記録が無いことは事実だ。 では、何故この聖杯戦争が起こったのか。 金田一よ、多くの事件を解決してきたおぬしならわかるのではないか?」 試すようなライダーの言動に、金田一は少々困惑しながらも思考を巡らせる。 ライダーは何故か“多くの事件を解決してきた”という部分を強調して言った。 だとすれば、自分が今まで関わった事件にヒントがあるという事だろうか? (でも、俺が関わった事件なんてそれこそ思い出してたらきりがないぐらい多いんだよな。 なら、少しでもこの聖杯戦争に近い性質を持った事件……。 そこに鍵があるのかもしれない) そう考えて思い出すのは、かつてバルト城で起こった、ミステリーナイトツアーという名目で行われた連続殺人事件。 やや乱暴な考え方だが、催し物を装って誰かを招き、人を殺し、自らは目立つ主催者の影に隠れるという点では聖杯戦争と共通していると言えなくもない。 そしてこの事件を聖杯戦争が起こった理由と関連付けて考えた時、金田一の脳裏に一つの仮説が浮かんだ。 「まさか……この聖杯戦争も、誰かが仕組んだものなのか?」 「うむ、少なくともわしはそう睨んでおる。 さっきも言ったが、ムーンセルは、この世界の地球上の記録を観測することしかせぬ。 並行世界の人間を観測するのは、その本義から外れたことだ」 「でも、最近になってそっちの方も記録するようになったって可能性もあるんじゃないか?」 「では聞くが金田一よ、並行世界というものは一体いくつあると思う? 例えば、もしおぬしが今の疑問を思いつかなかったら。 警察に電話することを思いつかなかったら。 もっと言えば、昨日の昼食の内容が変わっていたら。 そういった僅かな変化から生まれた分岐が、一つ一つの並行世界になると考えた場合でだ」 あまりに無茶なライダーの質問に、さしもの金田一も閉口する。 「そんなの、数え切れるわけないだろ。 むしろ、数えるだけ無駄じゃないか、そんなの」 抗議のつもりで言った言葉に、ライダーはむしろ我が意を得たりといった表情で答えた。 「その通り。数えるだけ無駄だ。 だからこそ意味が無いのだ。 如何にムーンセルが膨大な記憶容量を誇るといっても、それは単一の世界を基準とした場合だ。 無限の並行世界の地球の観測までしていては、すぐにオーバーロードを起こして自壊するのは自明の理。 つまり、ムーンセルの本来の目的から言えば、並行世界の扉を開き、人を招くこと自体が非合理的な無駄の極みなのだ」 「だから人間が仕組んだ、って事になるのか……。 ってちょっと待てよ、だとしたら、順序が逆になる……! ライダー、お前さっき聖杯の力を使えば並行世界の人間でも呼べる、みたいなこと言ったよな? だったら、願いを叶える人間を決めるために殺し合いをさせるんじゃなく、既に聖杯を手にして願いを叶えた人間が俺たちに殺し合いをさせてるってことになるんじゃないのか!?」 自ら思いついた仮説に青ざめる金田一。 もしこの考えが事実なら、自分たちが何をしても殺し合いを打破することなど不可能、という事になりかねない。 何しろ相手は既に聖杯を手に入れた人間だ。 少しでも殺し合いに反抗した者を消すなど造作もないだろう。 「いや、厳密には少し違うであろう。 本当に聖杯を掌握し、願いを叶えたのなら、わざわざ聖杯戦争を起こす理由が無い。 恐らくそやつは、聖杯にある程度干渉することはできても、完全に掌握し、目的を達成するには至っていないのであろう。 つまり、この聖杯戦争は目的達成のための手段として引き起こされた可能性が高い。 願いを叶えるという触れ込みや、バトルロイヤルという形式にしても参加者に疑問を抱かせないようにするための方策であろう。 この調子なら、他にも何か信憑性を高めるための布石を打っているやもしれぬな」 ライダーの返答に少しだけ安堵した。 考えてみれば、こうして自分たちが聖杯戦争の裏について議論することが出来ている時点でこの聖杯戦争の仕掛け人が完全な力を持っているわけではないことは明白だ。 そして、聖杯戦争を開催した理由についても、提示された勝利条件を考えればある程度の推測はできる。 「最後に残った一組みに願いを叶える権利が与えられる……って事は、殺し合いが完遂される事が目的の達成に必要な条件ってことになるよな」 口にするだけで苦い思いがこみ上げてくるが、考えることをやめるわけにはいかない。 金田一が持つ唯一の力が、この推理力なのだから。 「うむ、十中八九そう考えて間違いない。 となれば、わしらの取るべき方針は聖杯戦争の完遂を阻止することに絞られる。 しかし、これだけでは時間稼ぎにしかならぬ」 そこまで言うと、ライダーの表情が悪戯を思いついた子供のそれに変わった。(もっとも、ライダーの外見年齢は中学生ぐらいの子供といっても良いほど若いが) 「故に、わしらはどうにかしてこの会場、冬木市から脱出する必要がある。 そして、優勝以外の方法で聖杯に辿り着き、最終的には聖杯の近くにいるであろう黒幕をやっつけて、わしらで聖杯を独占するのだ。 殺し合いに乗ったマスターも、聖杯を他の参加者に握られては黙らざるを得まい」 あまりに突拍子の無いライダーの提案に、金田一は開いた口が塞がらない。 勿論それが出来ればベストなのだろうが、そう簡単に上手くいくとは思えない。 そんな金田一の表情を読み取ったのか、ライダーが微笑みながら説明を続ける。 「なーに、わしとて根拠も無く言っているわけではない。 如何に舞台がムーンセルといえども、この聖杯戦争自体は人間が考えたものだ。 まして並行世界の人間を招くという無茶までした以上、完璧ということはあるまい。 必ずどこかに隙があるはずだ」 殊更力強く話すライダーに、金田一もまた勇気づけられるのを感じた。 方針は固まった。ここからは行動すべき時だろう。 「よし!そうと決まれば街に出て情報収集だ! できたら他のマスターにも接触して―――」 「駄目」 「……は?」 唐突に冷や水を浴びせられた。 「わしらは当面、この柳洞寺に籠城する。 幸いここには食糧もあるからな」 「な、何でだよ!?もう準備は十分だろ!? こうしている間にも殺し合いが起こってるかもしれないのに……!」 「まあ理由はいくつかあるが、一つはおぬしの言う他のマスターについてだ。 この聖杯戦争に参加を決めた者の多くは魔術を始めとした何らかの超常的な力を有しておるだろう。 強い力を持ち、自ら望んで殺し合いに参加した者など、精々潰し合ってもらえば良い。 おぬしが気に病むことではない」 これまでとは打って変わったライダーの残酷な言動に、金田一は動揺を隠せなかった。 「でも、だからって死ねば良いなんてことにはならないだろ! それに、俺みたいに巻き込まれる形で参加させられた奴だっているかもしれない。 誰かが死ぬかもしれないって分かってて、見過ごすなんて出来ねえよ……!」 「金田一」 今までで一番真剣な表情と共に、ライダーが口を開いた。 「おぬしの気持ちは、わしもわかるつもりだ。 だが、今は耐えるのだ。 殺し合いを止めようにも、今のわしらが打てる手はあまりに少ない。 それに、今はここに立て篭る事こそが殺し合いを止めるために打てる最大の一手なのだ」 「……どういう事だよ?」 納得がいかないながらも、続きを促す。 「もう一つの問題は他のサーヴァント、とりわけキャスターだ。 魔術師のクラスに位置付けられておる彼のサーヴァントなら、スキルと魔力量次第でこの冬木市全体への魔術行使すら可能になるであろう。 そして、それに最も適した土地がこの柳洞寺なのだ。 つまり、ここを占拠される事は、魔術への抵抗力を持たぬおぬしや他の一般人のマスターにとっては死活問題になる。 それだけは避けねばならん」 ライダーの語る言葉に嘘は無いことは、その表情から伺い知ることができた。 恐らく、ライダーの言う通りにするのが現状ではベストなのだろう。 一瞬、令呪に訴えることも考えたが、それは徒にライダーとの関係に溝を作る結果にしかならないだろう。 また、本人はあまり自覚していないが、金田一自身、理詰めで物事を判断しやすい性格であることも彼をこの場に留まらせる一因になっていた。 しかし、同時に、諦めることを決してしないことも金田一の持ち味だった。 彼は、無言のままライダーの隣に座ると、茶菓子の包を手に取り、腕を組んで何やら考え事を始めた。 「…?どうした、金田一」 「考えるんだよ。 確かに今、俺はライダーの考えた作戦を上回るようなアイデアを示すことができない。 でも、それは今の話だ。 ライダー、俺は諦めないからな。 誰も死なせない、お前も認めるような方法を必ず考えてみせる」 そう言って、そっぽを向いて茶菓子(薄皮饅頭)を食べ始めた金田一の背中を、ライダーはどこか嬉しそうに見つめていた。 同時に、今後の展望についてもある程度の考えを巡らせていた。 ライダーとて、いつまでも柳洞寺に篭っているつもりはない。 彼は、生前と同じように、殺し合いを打破するための仲間を募るつもりだった。 (戦局が動くとすれば恐らく今から明朝までの間。 その間に戦闘で消耗したマスターとサーヴァントがこの地の霊脈を求めて来る可能性は高い。 そして、その時こそが交渉のチャンスだ) 消耗しているであろう相手と杏黄旗と霊脈によって魔力の充実したライダー。 そして、脱出の可能性と聖杯を山分けするという実利。 これらの条件をカードにして他のマスターと同盟を組み、ある程度数が揃ったら打って出る、というのが彼の戦略だった。 他のマスターが真っ先にこの柳洞寺に乗り込んで来る可能性もあるが、この序盤戦でそのような行動に出るのは十中八九キャスターのマスターだろうとライダーは考えていた。 その場合、戦いは避けられないだろうが、流石に陣地作成スキルの恩恵も受けていないキャスターに敗れるつもりはない。 Bランクの対魔力は伊達ではないのだ。 逆に、キャスターを仲間に加えることが出来れば心強いとも思う。 (殺し合いに乗っていない熟達の魔術師がマスターで、聖杯にかける願いの無いキャスターを従えている、そんな者たちと手を組めれば………はは、我ながらなんと無茶苦茶な) あまりに虫の良すぎる発想に、思わず苦笑する。 常識的に考えて、そんなマスターとサーヴァントの組み合わせが有り得るはずがない。 (まあ、それはともかく……何故ここにはNPCがいない? このような僻地にNPCを配置するリソースを割くことをムーンセルが無駄と捉えたか、あるいは霊脈としてのアドバンテージを得られるこの地に魔力炉になるNPCを配置することをある種の不公平と取ったか、あるいはその両方、か?) 例えば、もしも自分たちではなくキャスターが最初にこの地を抑え、更にNPCを魔力炉に利用したならば。 恐るべき早さで工房、あるいは神殿を形成し、序盤から圧倒的な優位に立っていただろう。 ここにNPCがいないことも、ある程度の公平性を期すための措置と考えれば納得できなくはない。 どこか釈然としない気持ちもあるが、いないものはいないのだ。 これに関しては、今は置いておいても構わないだろう。 それよりも、考えるべき問題が山積みなのが現状だ。 ちらりと、考え事をしている金田一の方を見やる。 正義感が強く、危ういところもあるが、サーヴァントとしてだけでなく、太公望という個人としてもこの少年を死なせたくはない。 一方で、金田一ならこの状況を打破する妙案を考えてくれるのではないか、という期待もある。 若き少年探偵の背中に、ライダーは微かな、しかし確かな希望を見出していた。 【柳洞寺・本堂/深夜】 【金田一一@金田一少年の事件簿】 [状態]:健康(残令呪使用回数:3) ※「怪奇サーカスの殺人」開始直前からの参戦です。 【ライダー(太公望)@藤崎竜版封神演義】 [状態]:健康・魔力充実 ※杏黄旗により、どこにいても円蔵山から魔力供給が受けられます。 ただし、短時間の内にあまりにも大量の魔力を吸い出した場合、霊脈に異常をきたす可能性があります。 ※裏に聖杯戦争を仕組んだ人間がいると考えていますが、その考察が的中しているとは限りません。 ※柳洞寺周辺にNPCはいません。 BACK NEXT 027 Cyclone 投下順 029 初期不良 027 Cyclone 時系列順 029 初期不良 BACK 登場キャラ NEXT 014 No.14 金田一一&ライダー 040 FINAL DEAD LANCER(前編)